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英雄達41

「それで、その正しい道順とやらはご存知なのですか?」

「ええ、勿論。と言いましても、ここに来るのは初めてなのですが、まぁ道順についてはしっかりと記憶しているので問題はありませんよ」

「そうですか。では、案内をよろしくお願いします」

「ええ。任せてください。ですが、ここからもまた時間が掛かるので、少し先で休憩しましょうか。転移魔法陣が組み込まれている場所は多少広くなっているようなので」

 そう言って女性が視線を先に向けると、言葉通りに少し先に更に奥行きが拡がった場所が確認出来る。どうやら上るばかりではなく、この階段は途中で少し下るようだ。

 それから程なくして、目的の場所に到着する。何も無い広いだけのその場所は、直ぐ先に壁があるばかり。おそらく転移魔法の仕掛けだけではなく、ヒヅキ達のように階段を利用する者が休憩出来るように踊り場も兼ねているのだろう。

 そこで少しの間身体を休めたヒヅキは、女性と共に床に描かれた転移魔法陣の上に乗る。上に乗るといっても、陣が発動するまでは目視出来ないので、ヒヅキは女性の言葉に従っただけだが。

 ヒヅキ達が乗った陣が輝くと、その強い光で一瞬視界を奪われ、次の瞬間には別の階段に移動していた。階段脇に移動して下を見てみると、上ってきた階段と思しき階段が確認出来る。

 そんなヒヅキの様子など気にせず、女性は先へと進む。それに気がついたヒヅキは、慌ててその後を追った。

 階段はどれも見た目は同じらしく、先程まで上っていた階段との違いは見受けられない。

 相変わらず少し段差がきついので、これを延々上っていくだけでもかなりの重労働になりそうだ。

 そんな事を思いながら淡々と階段を上っていき、次の転移魔法陣の場所まで到着した。今回は休憩せずにそのまま転移すると、次も見た目は同じ階段。

 ただ、下の方を確認してみると、少しずつだが上に移動しているのが分かる。このまま順調に行けばいいが、直ぐ上の辺りから階段が交差するように壁から様々な角度で伸びている。

 そうして何度も何度も転移しつつ階段を進み、途中何度か休憩を挿みはしたが、中々頂上まで辿り着けない。道中では事前の女性の言葉通りに、階段の途中から別の階段に飛び降りたり飛び移ったりしたので、ヒヅキはここを設計した者の頭の中を覗いてみたくなった。流石に入り組み過ぎだろうと。

 そんなこんなで、かれこそ階段の上り下りだけで数日は経過しただろうか。記憶するだけでも頭がおかしくなりそうな長い道順で階段を進むと、やっと終わりが見えてくる。

 終わりは階段の端に木で組まれた祭壇のような場所と、その上に屋根と柱で構築された祠のようなものが用意されていた。しかし、そこに何かが祀られているという事はない。

 祠の大きさは、ヒヅキが入れるぐらいだろうか。一人ならばともかく、二人で入るのは少し難しそうだ。

 そんな祠やそれが載っている祭壇だが、随分と昔からそこに在るというのに、かなり奇麗である。それこそ、今にでも真新しい木の匂いが漂ってきそうなほど。

 もっとも、そういった物は魔法で保護されているので、今までに見て来たモノを思えば珍しくもないが。それでもヒヅキは興味を惹かれはしたようだ。

 女性にその祭壇や祠についてヒヅキが問うと、女性は軽く笑って「あれも転移魔法陣が描かれた施設ですよ」 と簡単に答えた。

 それから祭壇と祠の前まで移動すると、女性からこの転移魔法陣の先が頂上である事を教えられる。ただ、転移先は直接頂上の神殿にではなく、神殿の外らしいが。

 その説明の後、少し休憩を挿んで、女性から先に転移装置を使用する。

 祠には人一人が入るのがやっとだが、女性の姿は直ぐに目の前から消え失せてしまう。それを見届けたヒヅキは、念の為に忘れ物が無いのを確認してから、続いて転移装置の上に乗った。

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