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英雄達24

 それから更に1日ほど歩いた。道中やれる事も少ないので、ヒヅキは魔法の効率化を図っていく。

 効率化を図るのは勿論、寒さを軽減させている魔法だ。本来であれば外気温の変化を感じなくなるはずだというのに、ヒヅキは魔法を発動しているにもかかわらず、寒さを感じていた。

 まだ何とかなる寒さではあるが、このままでは近いうちに寒さで動けなくなってしまうかもしれない。そんな懸念を抱きつつ、魔法の効率化を図る。

 そうしていると、何処からかバサッバサッと空気を叩く音が聞こえてくる。ヒヅキは周囲に視線を向けながら音源を探ると、どうやら壁の向こう側から聞こえているようだ。

 上空に目を向けてみるも、未だに壁の終わりは見えてこない。だというのにこうして音が届くという事は、よほど大きな音なのだろう。

 音の正体は、おそらく何かが羽ばたく音。であれば、十中八九龍であろう。この付近に他に空飛ぶ何かが生息しているというのをヒヅキは知らないというのもあるが。

 とりあえず壁の向こう側で間違いなさそうなので、そこまで警戒する必要はないかもしれない。そう思うも、ヒヅキは念の為に更に周囲を警戒しておく。

「そこまで警戒しなくても大丈夫ですよ」

 とそこへ、女性が軽い調子でそう告げる。

「そうですか?」

「ええ。まず龍の飛行能力ではこの壁を越えられませんし、壁の破壊は不可能とまでは言いませんが、群体で攻撃してもかなりの時間を要するでしょう。音から推測するに相手は2、3匹でしょうから、壁の破壊は不可能に近いかと」

「そうなんですね」

 女性の説明に頷くと、ヒヅキは少しだけ力を抜く。それでも完全に平素の警戒度合いまで落としはしないが。

「それにしても、相変わらずうるさいですね」

 未だ届く翼をはばたかせる音に、女性は不愉快だと言わんばかりの声音で呟く。

 それと共に何かに気がついたのか、女性はヒヅキの方に顔を向けた。

「そういえば、これから龍の巣に向かう事になりますので、騒音を軽減させる魔法を教えておきましょう」

「よろしいのですか?」

「必要な事ですし、それに今更ですね」

「まぁ、それは確かに」

 魔法というのは秘伝である。広く知られている魔法であれば、手に入れようと思えば誰でもそれは可能ではあるが、女性がヒヅキに教えているような何処にも書かれていない魔法は、それを知る者に師事して伝授されなければ知る術は無い。何せ他に方法はと言うと、その魔法を自力で開発するしかないのだから。

 故に、ヒヅキは教えてもらっていいのかと思ったのだが、女性としては今更の話である。別にこれが初めて教えるという訳ではないのだから。

 それに、今後必要だというのを抜きにしても、女性にとっては大した魔法ではないのだ。積極的に伝えるつもりはないが、それでも認めた相手に教えるぐらいなら何ら抵抗は無い。

 そういう訳で、女性は道すがらヒヅキに魔法を伝授していく。そう難しい魔法でもないので、龍が翼をはばたかせる音が遠くになった頃にはヒヅキも使えるようになっていた。

 後はまともに使えるように改良していくだけだ。幸いその時間はまだあるようだから。

 女性に話を訊くと、龍の巣まではまだ1日以上は掛かるという事だった。途中で休憩も挿む予定らしいので、それまでに騒音に対する魔法はしっかりと調整しておく。

 ヒヅキとしては、可能であれば寒暖に対する魔法ももっと効率よく行使出来るようになりたいところ。

 そう思いながら道中ヒヅキが魔法の改良を行っていると、それに気づいていたのだろう、休憩時間になって少ししたところで、女性はヒヅキに提案をしてきた。

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