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英雄達6

 それから途中で休憩を挿みながら、目的地である自然の迷宮を目指す。

 道中は平原が多かったけれど、それでも山や河を越えたりと平坦な道ばかりではなかった。もっとも、ヒヅキ達にとってはどうという事はなかったが。

 そうして到着したのは、なだらかながらも背の高い山が壁のように連なる場所。その山のひとつ。

「ここが入り口ですか?」

 山に入って少しの場所で足を止めた女性。そんな女性の横から先の様子を覗いてみると、岩の裂け目のような場所が、丘のように盛り上がった場所の麓の部分に開いていた。

 その裂け目はとても狭く、細身のヒヅキでも無理矢理身体をねじ込まなければ通れそうもないほど。

 先の様子は真っ暗で何も見えないので、ここから先が続いているかも分からない。ただ、風の流れを僅かに感じられるので、中に空洞があるのは確かなのだろう。

「ええ。目的の人物達が居る場所に最も近い入り口ですね」

「なるほど」

 少し前に女性から教えてもらった迷宮についての話の中で、出入り口が複数存在しているという話を思い出したヒヅキは、納得したと頷いた。

「では、入る前に魔法を掛けておきましょう」

 その女性の言葉に、ヒヅキはまだ覚えて日が浅い耐寒の魔法を自身に掛ける。女性から道中、効果は半減ながらも効果は出ているという話を聞いていたので、迷う事はない。

 それに、女性の話では耐寒の魔法が無くとも少し寒い程度らしいので、以前に探索した比喩無しに凍るほどに寒い場所とは違って効果が半減でも問題はないだろう。

 そう判断したヒヅキは、女性が事前に提案していた、事前に女性がヒヅキに耐寒の魔法を掛けるという案は丁重にお断りしていた。

 ヒヅキが耐寒の魔法を自身に掛けたのを確認した後、先行して女性が裂け目の中に入っていく。身体を横にして潜るように通っていった女性に続き、ヒヅキも同じようにして中に入る。

 裂け目の中に入ると、それだけで一気に周囲の温度が下がったのが分かった。効果半減の影響ではあるが、気にするほどではなさそうだ。

 外から見た通りに裂け目の中は暗かったが、しかし何も見えないというほどではないようで、足下も薄っすらと確認出来る。

 周囲を見回してみると、遠くの方に天井から日が射し込んでいる部分があった。光の線は細いが、それでも明かりは明かりだ。

 ヒヅキが中に入ると、それを確認した女性が歩き出したので、ヒヅキはそれに続く。

 そのまま近づいた光の方に目を向けてみると、どうやら天井の方に小さな亀裂があるようで、そこから外の光が差し込んでいるらしい。

 少し先に進むと、そんな場所が他にも幾つか確認出来た。差し込む光の線はどれも細いのだが、それでもおかげで薄っすらと明るい。

 ヒヅキは周囲に目を向けながらも、警戒は怠らない。この迷宮は少し前まで居た遺跡とは異なり、濃い魔力が中に満ちているという事はないようで、探知魔法の効果も地上とほぼ同じ。

 それに安堵しつつ、であれば魔物は居ないなとヒヅキは思った。そのまま探知魔法に集中してみると、遠くに反応が複数確認出来た。それもあちらこちらに固まっている。

 それを女性に話すと、どうやら目的の人物達以外にも動物達が近くに居るようだ。大きな巣はもっと奥に在るらしいが、小さな集団は固まって様々な場所に移動しているらしい。

 危険はないという事らしいので、ヒヅキは動物の存在を横に措き、集中して反応の中から目的の人物達を探す事にした。

 そして、それは直ぐに終わる。どうやらまだ距離はあるようだが、動く気配はない。

 強さのほどは、女性が言っていたように大した事はなさそうだった。大雑把にしか分からないながらも調べてみると、強くても一般的な冒険者ぐらいだろうとヒヅキは判断する。

 その程度でよく生き残れたものだと感心するも、これで何かあった場合は問題なく対処出来そうだと、ヒヅキは密かに安堵した。

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