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英雄達4

「まぁ、入手方法は色々ありますので大丈夫でしょう。仮に彼の地に居る者達全てと敵対したとしましても、ヒヅキ一人でも問題なく対処出来るでしょうし」

「そうなんですか?」

 深淵種とかいう初めて聞いた種族をはじめとした様々な種族が居るという場所なだけに、ヒヅキでは戦力についてはどう判断していいのか分からなかった。それでも女性ぐらい強いような相手は居ないだろうと推測していたので、ヒヅキ一人でも問題ないというのに確認を籠めて問い返す。

「ええ。そもそもヒヅキに勝てるぐらいであれば、スキアから逃げる必要はありませんから」

「それもそうですね」

 女性の言葉に頷いたヒヅキだが、確実ではないとも思っていた。ヒヅキでも戦う必要がないならスキアから逃げている事だろう。もっとも、女性の場合はそんな推測を基に予測している訳ではないので、信憑性は高いと判断しているが。

 それから二人は目的の場所を目指して進んでいく。その道中、ヒヅキが女性に到着までどれぐらいかと問い掛けると、10日もみれば問題なく到着出来るでしょうと返ってきた。

「結構遠いんですね」

 それにヒヅキがそう返すと、女性は少し考えて小さく首を振る。

「遠いと言いますか、隠れている場所が問題ですかね」

「隠れている場所ですか?」

「ええ。自然の迷宮と言いますか、かなり入り組んでいる場所に隠れたようです」

「自然の迷宮? 遺跡ではなく、ですか?」

 ヒヅキは以前、自然に出来た洞窟を基に造られた遺跡を探索した事があった。その時はウィンディーネの力を借りて何とか、という過酷な環境ではあったがかなり広い場所で、尚且つ少し入り組んでいた。

 それを思い出したヒヅキの問いに、女性は「違いますよ」 と答える。

「山の中に出来た自然の迷宮ですね。連峰の中を貫く広い空間で、遺跡とは異なり整備されていないので横道や行き止まりも多く、しっかりとした道ばかりではありません」

「……それは、逆に10日で踏破出来るのですか?」

「踏破する必要はありませんからね。目的の相手は少し奥に行った場所に在る行き止まりで固まっているようです。まぁ、1ヵ所ではないようですが」

「なるほど。道は分かるのですか?」

「ええ。問題ありませんよ」

「そうですか」

 何でもないように頷く女性に、ヒヅキは相変わらず凄いものだと小さく肩を竦める。ヒヅキではそこまで広範囲を調べるようなことは出来ない。

(そもそも道を把握するというのがどれだけ難しいか)

 生き物を感知するのと違い、道を把握するのは難しい。ヒヅキでも少し先まで把握するのが精々で、もっと修練しなければなと思っていたところであった。もっとも、最近は身近にそれを楽にこなす誰かが居る場合が多かったので、あまり必要とする場面も無かったのだが

 それでも身につけていて損はないだろう。そう思い、折を見てちょくちょく修練しているのだが、成果はあまり上がっていない。

 もっとも女性の場合、遥かに離れた場所から目的地の地理を把握してしまっているのだが。

 流石にそれとは比べてもしょうがないので、ヒヅキは迷宮について考えてみる。

「隠れ場になっているという事は、その迷宮は安全な場所なのですか?」

「ええ。今のところスキアは居ませんし、魔物も居ません。動物が住処にしている場所もありますが、そちらはもう少し奥の方ですので、安全でしょう」

「環境は分かりますか? 水源はあるのでしょうか?」

「水源は壁から染み出ている水が何ヵ所か在るようですね。水量は大したことありませんが、必要量は賄えているようです。食料は主に迷宮内の動物を狩っているようですが、目的の人物たちが隠れている辺りにも僅かですが植物が生えているようなので、その辺りも採取しているようです」

「ふむ。では、食料の方は問題ないと」

「はい。火も熾しているようです。広い迷宮には出入り口が何ヵ所もありますので、空気も流れているようですし問題ないでしょう。周辺環境は湿気がやや多く、温度は低め。しかし、活動出来ないほどではないといったところです」

「……なるほど」

 そこまでよく分かるものだと内心で感心しながら、ヒヅキは今女性が話した情報を頭の中で整理していく。

(生きていく分には問題なさそうだな。寒さだけは対策が必要かもしれないが……)

 ウィンディーネが以前掛けた寒さに強くなるという魔法を思い出したヒヅキは、女性もそんな感じの魔法が使えるのだろうかと考え、思わずといった感じで尋ねていた。

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