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テトラ160

 水晶の欠片は残り2つ。そして、その2つは所持者が居て、近い位置に居るという。

(次の目的地で水晶の欠片が揃うのだろうか?)

 干し肉を齧りながら、ヒヅキは思う。以前に魔族の村で女性が神に教えてもらったという水晶の欠片の位置。現在居る遺跡とは離れた場所に居る二人の所持者。ヒヅキが聞いているのはそれだけだ。他に居るという話は聞いていないので、おそらくそれが全てなのだろう。

(水晶の欠片集めが終わった後はどうしようかな)

 水晶の欠片が揃い女性が万全の力を取り戻したとして、その後にどうなるかはヒヅキには分からない。すぐさま神が襲撃してくるかもしれないし、何も起きないかもしれない。

 ヒヅキにそれは分からないので、何も起きなかった場合について思案してみる。仮に何か起きたとすれば、それに対処する必要が出てくるので、予定は勝手に決まっていく。

(旅を続けると言っても、目的がなければ世界も大分狭くなっているだろうからな)

 スキアの襲撃が起こってかなりの時間が経過している。たとえ神が遊んでいたとしても、補給がままならないのであれば、それだけで滅びていく事だろう。時間的にもそれが起きるには十分な時が過ぎている。

 廃墟を見て回るというのもいいかもしれないが、スキアの襲撃後に残っているのは、ほとんどが瓦礫の山だけだ。結果として何処も似たような光景になるので、見て回る必要もない。

 だが、必ずしも全て滅んでいる訳ではないというのも事実であった。例えば近くに在る魔族の首都は、ヒヅキ達が遺跡に入る前までは健在だった。今はどうなっているかは分からないが。

(魔族の首都と言えば、守護者から採った金属をどうするか)

 女性曰く、現在の技術では加工は不可能らしいが、それでも女性ならば簡単な加工程度であれば可能だという。ただ、それにも設備が必要らしいだが。

「そういえば、守護者を構成していた金属を少し持ち帰ってきましたが、あれの加工はどうしますか?」

 とりあえず、どうなのかとヒヅキは女性に問う。必要であれば、水晶の欠片を回収する前にどうにかしてもいい。

「そうですね……魔族の首都は陥落したようですし、設備を探すよりも新たに造った方が早いかもしれませんね」

 魔族の首都が滅んだという衝撃的な事を何でもない口調で口にする女性。しかし、ヒヅキはそういえば遺跡の探索中にそんな事も言っていたなと思い出す。それに、そんな事はどうだってよかった。それよりも重要な事は。

「設備を新たに造れるのですか?」

 建築の知識など持ち合わせていないヒヅキは、首を傾げて問い掛ける。知識は無くとも、場所と建材が必要な事は知っている。周囲には木が在るので、そこを切り開いて場所と木材を同時に確保するのだろうか? そんな事を思いつつも、必要なのは建物だけではないだろうと思った。ヒヅキは鍛冶についても門外漢ではあるが、何も用意せずに鍛冶は出来ないだろう事は想像出来る。

「ええ。そこまで広い場所が必要な訳ではありませんので、森を出たところでも十分でしょう。建築も何もかも魔法で賄えますので、直ぐに完成しますよ」

「そうなんですね。相変わらず魔法というのは便利なものです」

 火を点け水を生み出す。それだけでも魔法というのは大変便利なものだ。それはヒヅキは昔から思っていた事だが、こうして説明を聞くだけでも改めてそう思った。これで半減の呪いさえなければと思わなくもないが、使えないのに比べれば十分恵まれているのだろう。

「そうですね。しかし、ただ火を点けたりするのと違い、建築などは知識もしっかりと必要なので、簡単に扱える魔法でもないのですよ」

「なるほど。考えてみればその通りですね」

 火球など魔法はある程度決まった形で現出するモノが多々あるが、女性が説明したような創る系統の魔法は創り手に依存する部分が大きく、個人差が顕著に表れる魔法であった。それを思い出したヒヅキは、事も無げに魔法で創ると言ってのけた女性の技量に感心したとばかりに頷いた。

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