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テトラ151

 そこまで考えたところで、ヒヅキはこの場には自分と女性の二人が居る事を思い出す。

「それは一人がここに残って、もう一人が装置の破壊を行うというのでは駄目なのですか?」

 もしもそれが出来るのであれば、装置の破壊後に棺の中身を入手してから時の狭間経由で入り口に戻ればいい。装置の破壊と共に入り口が閉じるのだとしても、再度往復するよりも一人が戻るだけの方が断然早く、面倒も少なく済むだろう。そう思っての提案だったのだが、女性はヒヅキの提案に首を横に振る。

「それは不可能ですね。装置を破壊したとしても、この階層に誰かが居る限り棺は開きません。つまり、たとえここに残ったとしましても、装置を破壊した後は全員で時の狭間の世界に移動しなければならないのです。そして、ここにある時の狭間の世界への入り口は奥のそれと、ここに来る時に使用したこの階層の入り口に在るモノだけです」

「そうなんですか。厳重なんですね」

 ここに元々封印されていたというモノを思えばそれぐらいは普通なのだろう。何せ、神々が人目に触れるのを嫌って封じたらしいのだから。

(中々に自分勝手で狂気的な理由だが)

 神々が気に入った女性を厳重に監禁したようなものなので、ヒヅキの感覚的には普通に引く理由だが、きっと何か人の身では窺い知れない深淵な理由でも在ったのだろう。ヒヅキはまともに考えるのも馬鹿らしいので、そう思うことにした。

 ともかくそういう理由なので、封印が厳重なのは理解出来る話だった。もしかしたら封印が解けた後、誰も居ない間に女性を逃がすつもりだったのかもしれない。

 しかしそうなると、二人で装置を破壊して入り口からやり直すしかないという事になる。水晶の欠片は必要なものなので、諦めるという選択はないのだから。

「それでは装置の破壊に行きましょうか」

「ええ、そうですね」

 棺の調査を散々行ったヒヅキが満足してそう告げると、女性は頷いて奥へと歩いていく。

 そのまま女性は歩みを止める事なく、棺の奥に在る壁の中へと入っていった。

 それを見て、ヒヅキは納得して後に続く。視覚的には岩の壁をすり抜けて直ぐに黒い入り口が現れたが、感覚的には何かを通り抜けたような感覚もなく、時の狭間の世界へと到着した。

 ヒヅキは時の狭間の世界に到着した後に振り返ってみると、そこに在るはずの今し方通ってきたばかりの入り口が無くなっている。

 そうして一方通行なのを確認した後、ヒヅキが時の狭間の世界に入ってから直ぐに移動を始めていた女性の後についていく。

 しばらく黙々と進んでいくと、奥の方にヒヅキ達の身体のように淡く光を放っているように存在が確認出来る物体を見つけた。おそらくそれが魔物を創造している装置なのだろう。

 前回は玄関先の外灯のような見た目の装置だったが、はたして今回はどんな感じなのだろうかと、ヒヅキは好奇心で僅かに逸る気持ちで歩み寄る。

 次第にはっきりしていく輪郭を捉えながら更に近づくと、そこには大小様々な箱を組み合わせたような装置が置かれていた。上の方にはこぶし程の大きさの球体がくっついている。

 その装置がガコガコトと音を立てて駆動していた。ヒヅキがそれを眺めていると、女性から後ろからではなくて側面から見てみてはと言われ、素直に装置の横に移動する。どうやら先程のは装置の後ろ側だったらしい。

 言われた通りに横に移動してみると、大小様々な箱を組み合わせた装置の先に、舌のように伸びた板が高い位置に取り付けられている。その上を何やら赤黒い小さな塊が運ばれ、べちゃりべちゃりと粘着質な音を立てながら下に落ちていた。

 まるで第3階層に居た魔物を小さくしたようなそれだが、落ちた後は動く気配がないので、生きてはいないのだろう。

 ではなんだ? とヒヅキは考えるも、答えは分からない。なので、例の如く答えを知っていそうな女性に問い掛けてみる事にした。

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