表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1050/1509

テトラ148

 そうして思案している間にも再び体内の魔力濃度が高まっていき、また気分が悪くなってくる。

 どんどん奥へと進んでいるので魔力濃度が更に濃くなっていっている。その影響で上限に近づく間隔が短くなったようだ。このままいけば、最奥に辿り着く事は叶わないだろう。

 そう思い、急いで過去視を使用する。ついでにもう1つ光球を頭上に浮かべる。

 頭上に浮かぶ複数の光球のおかげで、すっかり周囲は真昼のように明るくなってしまった。水晶の明かりが霞み、光っているのかどうかさえ分からなくなるほど。

 その代り、水晶が反射する光で目が痛い。水晶自体が光っているからかまだそこまで強くはないが、これから先も光球を増やすとなると目が開けられなくなるかもしれない。

 過去視の方は、流石に誰かの痕跡があるという事はなかった。ここまで辿り着けた者は遥か昔に居ただけらしいし、そこまで昔だとボクの過去視では視る事は出来ない。

 ただ、今回に限って言えばそれはむしろ好都合なので問題ない。対象が多いとそれだけ処理に苦労するだけだから。

(それにしても、魔物の幻影が確認出来ないな。ここまで魔物は来ていないのか? それとも魔物は映らない、もしくはここの魔物は映らないという事だろうか?)

 過去視は万能ではない。それどころか過去視に映らないモノは結構存在している。最も多いのは無生物だろう。命無きモノは映らない。

 しかし、だからといって生きている者は必ず過去視に映るかと言えばそうでもないらしい。その辺りは条件がよく分かっていないので何とも言えないが。

(それでもスキアは過去視で確認出来たのだけれども……魔力の濃さが影響しているとか? まぁ、いいか)

 些細な事だ。ヒヅキはそう思うことにした。魔物とはそうそう遭遇するものではないし、何にせよ奥に行けば魔物が居るのだから。

 それにしても、とヒヅキは考える。過去視を使用したはいいが、何も映らないというのは奇妙なものだった。振り返れば自分の跡は確認出来るから、過去視が起動していないという事はない。それと、女性の痕跡も映らないというのは、やはり気にするべきなのだろうかとも。

 ただ女性の場合、過去視や感知魔法で確認出来たり出来なかったりするので、気にするだけ無駄なような気もしている。どうやっているのかは分からないし、教えてはもらえないが。

 とはいえ、今回重要なのは過去視を使用して魔力を消費するという部分なので、その結果として何が視えて何が視えないのかはどうだっていい話だ。

 ヒヅキは魔力消費量はどんなものだろうかと確認してみると、僅かだが魔力消費量の方が多いようで、取り込んだ魔力が少しずつ減っていっている。それはいい事なのだが、少しずつなのでそれも直に追い抜かれてしまうだろう。

 光球を出し続けるのも限度があるので、後はやはり光の剣ぐらいしかない。普通の魔法でも魔力は減るが、それでは少なすぎた。

 そうと決まれば光の剣を現出する為に女性に一言断ろうと思ったところで、もう1つ魔力を消費する方法があったのを思い出す。

(魔砲の砲身もあれはあれで結構魔力消費が激しいんだよな)

 そんな事を思いながら、光球を放つ際に使用する砲身を現出させる。

 砲身は光の環を連ねたものなのだが、その数は状況に応じて変えている。光の環を通過した魔法は、速度を増して遠くまで飛ぶのだ。

 今回現出させた光の環は10本。今までで1番多く1度に現出させたが、おかげで魔力がごっそりと減った。光の環の維持にも魔力を使うので、過去視と合わさりどんどん魔力が減っていく。おかげで体調も良くなってきた。

 ただこれも、奥へ進めば逆転するかもしれない。光球を魔砲の弾として放つ訳にもいかないし、困ったものではある。もっとも、その場合は1度魔法を消してから再度現出させればいいだけなのだが。

 しかしそれも、出来ればあまり頻繁には行うのは避けたいところであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ