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テトラ140

 それからもどんどんと奥へ進んでいく。

 部屋や通路は大きさがほとんど同じだが、第4階層は横幅もだが天井が高いのが特徴か。

 ヒヅキは女性が話していた、罠が起動すると動き出すという魔物の気配を探ってみるが、全く感知出来ない。もしかしたら感知範囲には居ないのかもしれないが、それすらもヒヅキでは知る事が難しい。

 同じ造りの部屋と通路を進んでいくだけ。罠は女性が避けてくれるので簡単ではあるが、何だか同じ場所をぐるぐると回っているような錯覚に陥りそうだ。もっとも、それも階層内が明るかったらだろうが。

 女性の後を付いていきながら、ヒヅキは頭の中で地図を描いていく。通った道だけなので、ほとんど線だ。

 その線だが、ぐにゃぐにゃとしていてかなりの遠回りをしているのが分かる。複雑とまではいかないが、それでも迷路ではありそうだ。

 道を知っている女性が案内していなければ、どれだけの時間を要したか。遺跡の中にはこの階層以上に複雑に入り組んでいる場所も珍しくないので、延々と続く闇に不安にさえならなければ、ここは非常に簡単な方だろう。なにせ分かれ道が少ない。という事は、罠の方が主軸という事か。

(ま、罠で魔物が複数体襲ってくるならそれも頷けるが)

 ヒヅキでも中々知覚出来ない罠も多く、魔物の罠に至ってはまるで分らない。そんな遺跡を踏破するなど、冒険者にも無理だろう。女性はこの部分は表向きな部分と言っていたが、それだけで防衛は十分な気がした。

(……いや、ここは昔に攻略されているのだったか。こんな場所をね)

 こんな危険で面倒な場所をよく攻略出来たモノだと思いながら、ふと最奥に封印されていたという女性はどうなったのか気になった。神々の寵愛を受けて封じられたような女性である。普通の人な訳はないだろう。なんだったら未だに生きていても不思議ではない。

 ヒヅキがそんな事を考えながら女性の後に続いていると。

「到着しましたよ」

 部屋の入り口が見えたところで足を止めた女性が、ヒヅキに終点を告げる。

「そのようですね」

 それにヒヅキは頷きを返す。ヒヅキの感知でもその部屋の中に魔物の群れが居るのが分かった。

「では行きましょうか。魔物達を斃せば、次は宝の間ですよ」

 その言葉に、ヒヅキは少し前に女性が話した内容を思い出す。宝の間。それは表向きはこの遺跡の終点で、相手の真実の姿を映すという鏡が安置されているのだとか。

「全5階層だったんですね」

「ええ。それでもここまで来られた者は、ヒヅキ以外でしたら過去に封印を解いた者だけですね」

「そういえば、それは魔物が居なくなってもですか?」

「そうですよ。魔物は居なくとも、罠はありますから。それに、魔物以外は居ましたので」

「魔物以外?」

 入り口から部屋の中を覗き込んだ女性の言葉に、ヒヅキは首を傾げる。ここまで到着したが、魔物以外の存在など見なかった。

「魔法道具ですかね。あの守護者のような」

「ああ、そういえば」

 女性の言葉に、そういえばそんなのが居たなとヒヅキは思い出す。強すぎて出来れば思い出したくない相手だ。

「あのような魔法道具が遺跡内に設置されていたのですよ」

「なるほど」

 そういえば、守護者は動き出すまで感知出来なかったなと思い出したヒヅキは、納得したと頷く。

「さ、では行きますよ……戦いますか?」

「いえ、遠慮しておきます」

 入り口からこっそりと部屋の中の様子を窺ったヒヅキは、女性の言葉に首を横に振る。

 ヒヅキ達が覗いた部屋はかなり広く、今までの同階層の部屋よりも5倍以上の広さはあるだろう。感知魔法で調べた魔物が居る範囲だけでそれなのだから、実際はもう少し広そうだ。

 そこに魔物が大量に蠢いており、入り口近くにも数体確認出来た。ただ光には反応しないのか、入り口前で浮かばせていた光球には反応していない様子。

 通路に引っ張りだせば少数ずつ相手に出来たのだがと思ったが、無理ならばしょうがないと頭を切り替えたヒヅキは、魔物の掃討を女性に全て任せた。

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