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テトラ136

「魔物を生み出す装置とは、あの玄関先の外灯のようなモノですか?」

「ええ、無事に見る事が出来て良かったです」

「装置ってあんな感じなのですね」

「みすぼらしくて期待外れでしたか?」

「え、あー……そうですね」

 女性の指摘にヒヅキは一瞬言い淀むも、隠す事でもないので肯定する。それに女性はくすりと小さく笑った。

「ここの装置は1種類の魔物を生成するだけですからあれでいいのでしょう。もう1つの最下層の装置は複数種類生成するので、形は違いますよ。ご期待に沿えるかは分かりませんが、そちらはもう少しらしい見た目ですね」

「そう、ですか」

 少し気恥ずかしさを覚えながらも、ヒヅキは頷く。

「それで、あの装置はどうするのですか?」

 気になっていたので、ヒヅキは話題を変える意味でもそう問い掛ける。

「そうですね……周囲の安全の為にも壊しておきましょうか。どうせ神が何か封印する時はまた修復するでしょうけれども」

「なるほど。確かにそれなら壊した方がいいですね。…………それで、どうやれば壊せるのですか?」

 ヒヅキはふと思い立って試しに手元に光の剣を出そうとしてみたが、不発に終わる。それは光球も同様だった。

 どうやらこの空間では魔法の行使は出来ないらしい。少なくともヒヅキは。

 なので女性にそう問い掛けると、女性はヒヅキの荷物を指差す。より正確には女性から渡された剣を。

「その剣でなら容易に壊せますよ。あのぶら下がっている部分を中ほどから斬ればそれで破壊完了です。ああ、そういえばもうすぐ魔物が生成されるようですが、破壊はそれを見てからにしますか?」

 気楽に破壊方法を告げた後、女性はそんなことを問い掛けてくる。確かに魔物が生まれてくる瞬間などかなり貴重な場面だとは思うが、しかし現在は魔法が使えない身。それ故に生まれた魔物の対処は難しいのではないかとヒヅキは思い、難しい表情を浮かべる。

 それを見た女性は、なにやら満足したように小さく頷いてから付け加える。

「あの装置で生まれた魔物は外に出ようとするだけなので襲ってはきませんよ。それにその剣でも魔物は倒せますし、何でしたら私が対処しましょう。私でしたらここでも力の行使が出来ますので」

「そうなんですか?」

 でしたら装置の破壊もお願いします。と言いたくなったヒヅキだったが、その言葉は呑み込んでおく。何となくここに来てから女性が自分をからかっているという事が解ったから。理由は解らないが。

「ええ。ですから、魔物が生成される瞬間が見たいのでしたら、遠慮なさらず。不要でしたら破壊して頂ければそれで」

 そう言われ、であれば見たいと好奇心が刺激されたヒヅキは、魔物の対処を女性に頼む。

「では、魔物の方はお願いします。その後に装置は破壊しますので」

「分かりました。では、少し待ちましょうか。装置の様子からみて後少しで間違いないでしょうが、それでも少しは待つでしょう」

 女性のその言葉に了承したと頷くと、ヒヅキは装置に目を向ける。

 装置の様子と女性は言っていたが、じっくり眺めてみてもヒヅキには分からない。それは初めてみるからという訳ではなく、装置からは何も感じないのだ。もしかしたら魔力とは別の物質で動いているのかとも考えたが、魔法が行使出来ない事を思えば、ヒヅキでは察知する事が出来ないだけかもしれなかった。

(体内の魔力は問題ないのだが)

 身体の内を巡る魔力については問題なく感じることが出来るのだが、それを周囲にとなると途端に何も感じなくなる。感覚が麻痺しているとかではなく、そこには最初から何も存在していないかのように全く何も感じないのだ。

 装置に目を向けながら、ヒヅキは一体どういうことだと内心で首を傾げる。ヒヅキではどれだけ調べてみても答えは得られそうにはないが。

 そうして待っていると、眺めていた装置の方で変化が生じ始めた。

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