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テトラ126

 だがその場合、普通の鋳型でいいのだろうかとも思う。特殊な金属を扱うのだ、通常の型では壊れてしまうかもしれない。

 その事についてヒヅキが問うと、1回では壊れないという何とも困った返答を得られた。それでも最低1度は問題ないというのであれば価値はあるのだろう。ただ、金属を回収したはいいが、ヒヅキには何か必要な物はなかった。

(武具は必要ないしな)

 希少な素材を使用しているという事で回収してみたが、金属の使い道を考えてみて、必要ないかもしれないと思い直す。

 それでも完全に必要ない訳ではないので、空きを作るという名目で数を減らすだけにした。

 空間収納の方の金属を全て元に戻すと、女性に「要らないので?」 と問い掛けられたので、事情を話す。

「なるほど。でしたら、魔法道具にした腕輪などにしてみては? それでしたら日常生活から魔法の補助まで幅広く活用できますよ」

「それでも必要量は少なくて済みますよね?」

「そうですね。作る物にもよりますが、腕輪などの装飾品程度であれば、先程出した量でも十分でしょう」

 最初に空間収納を修得した時から成長したとはいえ、未だにフォルトゥナと比べるとヒヅキの空間収納は大きくはない。なので、先程出したと言っても、一抱えよりも一回り以上少ない量だ。

 それでも、腕輪や首飾りなどの装飾品を作るとしても十分な量だろう。なんだったら小物を足しても余るかもしれないぐらい。そして、残している金属量は、出した金属よりも僅かに多い。

「何でしたら私が作りましょうか? 金属を溶かして型に流し込んで固めた後に魔法を組み込むだけですから、然程手間でもありませんし。要望も可能な範囲で聞きますよ?」

「いいんですか?」

「ええ。今後必要になってくるでしょうからね」

「それは……そうですね」

 あまり思い出したくはないが、その可能性は非常に高いだろう。それでも、いくら女性謹製の魔法道具を身に付けたからといって、今後活躍できる気はしないのだが。

「では、この遺跡での用事が済んだ後に作るとしますか」

「当てはあるのですか?」

 鍛冶をするにも場所や道具が必要だ。この遺跡内にそんな設備が在るとも思えないし、ヒヅキに当てなどありはしない。あってもエルフの国が在った場所ぐらい。

「それなら大丈夫ですよ。型さえあればいいのですから、魔族の首都にでも転がってることでしょう。なければあの村に戻ればいいのです」

「そんな簡単にいきますかね?」

 気楽な女性の物言いに、ヒヅキは心配からそう問い掛ける。魔族の首都に関しては未だにスキアと交戦中らしいし、仮に陥落していたとしたらスキアに破壊されていて何も残ってはいないだろう。

「まぁ、無理なら自前でどうとでもしますよ」

「なるのですか?」

「少々手間が掛かるので面倒ですが、金属を操作して形を作ればいいだけです」

「そんな事が出来るのですか?」

 気軽に口にした女性の言葉に、ヒヅキは驚愕に思わず問い掛ける。金属を操るなど聞いた事もない。

「条件さえ満たせば可能ですよ。ただ、条件を満たしてもヒヅキには出来ないでしょう。神擬きで何とか可能かも? という魔法なので」

「そうですか」

 多少残念ではあるが、ヒヅキは最初から大半の魔法について諦めているので、それについては問題ない。それでもウィンディーネ達でも難しいというのは如何ほどの難しさなのか。

「では、よろしくお願いします」

「ええ。用途や組み込む魔法など、希望はありますか?」

「えっと……」

 女性の問いに、ヒヅキは言葉を詰まらせる。突然そう言われても、考えていなかったので答えようがなかった。

「とりあえず腕輪で……」

 それでも何か答えようと思ったヒヅキは、先程の会話で出てきた腕輪を注文した。しかし、魔法については全く思い当たらない。

「組み込む魔法はどうしますか?」

「えっと……んー」

 続けての女性の問いに、ヒヅキは言葉を詰まらせたまま腕を組むと、難しい顔で思案を始めた。

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