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テトラ125

 1度深呼吸をして落ち着けると、ヒヅキは視線を金属の板に戻している女性に問い掛けてみる。

「その守護者はどれぐらいの強さなのでしょうか?」

「そうですね……」

 ヒヅキの問いに、女性は視線を金属の板に向けていた目を細める。

「おおよそですが、最奥で私の動力を護っている魔物よりは強いでしょうね」

「え?」

 その返答に、ヒヅキは思わず声を漏らす。得体の知れなかった相手が、実は勝てないと思っている相手よりも上と言われれば、自分が一体何と戦っていたのか理解出来るというもの。

「状況にもよりますが、それでも一対一ならまずこれが勝つでしょう。おそらく三体程度であれば、同時に戦っても勝てると思いますよ。これにはそれぐらいの性能がありますので。なので、今の貴方であれば完全に染まった魔物でも一体ならば勝てるでしょう。二体でも時間稼ぎぐらいは可能かと」

「……………………」

 女性のその評価は、ヒヅキが強くなっているという事なのかもしれない。だが、ヒヅキには先程女性が発した言葉の意味がより正確に理解出来たに過ぎない。

『よく死ななかったですね』

 今し方の女性の評価を聞けばその言葉も頷ける。というか、ヒヅキ自身もよく生きていたなと驚くばかり。

「とにかく、直ぐに私に後を託した貴方の判断は正しかった。という事ですね」

 ヒヅキへと微笑みを向けて、女性は何処か教師のような口調でそう告げる。その言葉に、ヒヅキは何とも言えない表情を浮かべたが。

 そんな表情を見た後、女性は視線を足元の金属の板に戻すと、誰にも聞こえない声で「評価を改めなければいけませんね」 と呟く。その後に何かを思い出すような仕草をした後、足下の金属の板を指差して女性はヒヅキに問い掛ける。

「それで、これはどうしますか? 少しぐらい持って帰りますか? それともここで処分しますか?」

 その問いにヒヅキは少し考え、背嚢や空間収納に在る空きの分だけ金属を回収する事にした。

 金属は光の剣で問題なく切り分けられたので、切り分けた金属の塊を持ち上げる以外は随分と楽な作業であった。

 女性も金属の回収に手を貸してくれたおかげでそこまで時間は掛からなかったが、それでも危うい戦闘の後なので、女性に安全性を確認してからその場で休むことにする。

「はぁ」

 防水布を敷くのも億劫だったので、ヒヅキはそのまま床に腰を下ろす。そんなヒヅキの近くで、女性は金属の板の上に座った。

「それにしても、それは本来ここには居なかったのですよね?」

 ヒヅキは用意した魔力水を飲みながら、女性が腰を下ろしている金属の板を目線で指して問い掛ける。

「守護者自体は居ましたが、もっと弱い守護者でしたね。それこそヒヅキの初撃で終わっていたほどに。反応速度や移動速度も大した事ありませんでしたから」

 先程の戦闘を思い出しながら女性は説明する。本来であれば、相手が先に動こうとも、距離を詰めたヒヅキが一撃で斬り伏せていた事だろうと。

「……そうなんですか」

 しかしヒヅキはそれよりも、さらりと女性が自分の名を呼んだ事に軽く驚く。一体何の変化があったのか。それがなんであれ面倒な事でなければいいがと、ヒヅキは内心で零す。

「そういえば、その金属は色々と希少な素材が混ざっているようですが、それは普通に加工できる物なのですか?」

 伝説とも言えるだろう素材が含まれた謎の金属に、ヒヅキは回収したはいいが気になって問い掛ける。

「普通に高温で熱して叩く程度ではビクともしないでしょうね」

「ではどうすれば?」

「ヒヅキの光の剣と同じですよ」

「え?」

「高位の魔法が必要という事。それも結構な魔力と共に」

「……それは加工出来ないという事では?」

「まぁ、現在の技術じゃ不可能でしょうね。しかし、溶かして型に嵌め込む程度であれば私でも出来ますよ?」

 少し考えて発せられた女性の言葉に、型を用意するだけでいいのだろうかと、ヒヅキは思案する。それであれば不可能ではないだろう。

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