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テトラ122

 そんな話をしながらも、ヒヅキ達は遺跡の奥へと進む。

 第2階層の内部は第1階層と比べれば狭いものの、それでも巨人が暮らせるぐらいには広い。内部構造としては、横道が少ないのでそこまで複雑ではないはずなのだが、部屋や通路が大きいというだけで進むのには苦労するようだ。

 教会を抜けてからは、広いだけの部屋と直線の通路の繰り返しで構成されているようで、視線もよく通る。

 魔物は部屋の中に数体で居るのがほとんどで、たまに通路歩いているのを発見する程度。

 強さは単体では平均的なスキアとほぼ同等の強さまで上がっていそうだったが、やはり速度という点においてはスキアに軍配が上がる。なので、数体程度であればヒヅキでも何とか相手出来そうだった。

 もっとも、全ての魔物は出合い頭に女性が瞬殺したので、遠目に確認出来た限りではというだけなのだが。

 それでも第1階層の魔物よりは少し強くなっているように思えたので、ヒヅキが相手出来る魔物も直に居なくなるのだろう。完全に魔物と化した真なる魔物など、今のヒヅキでは一対一でも勝利も覚束ないと思われた。

 そうして第2階層を半日ほどだろうか、延々と歩き続けたところ、下層へと続く階段の在る部屋に到着した。

「あれが守護者ですか?」

「ええ、そうですよ」

 部屋に入ったところで立ち止まった女性の横で、同じく立ち止まったヒヅキが向かい側の壁近くに置かれている物を指差してそう問い掛けると、女性はヒヅキの方を見て頷く。

 ヒヅキの視線の先には、反対側の壁から延びる地下へと続く階段と、その傍に佇む置物がひとつ。

 その置物は、一言でいえば溶けた人だろうか。人型の氷像を置いておいて溶けだしたように形が曖昧ながらも、それでも確かに人型なのは解る細長い棒のような青白い置物。

 その置物の高さはおそらく2メートルで、横幅は1メートルほどなので、ヒヅキと比べれば大きいのだが、それでも溶けているように見える為に何だかみすぼらしい印象を受けた。なので、たとえそれが動いたとしても強いとは思えない。

 一応、おそらく槍か何かなのであろう棒状の物を両手で握っているが、ヒヅキの手首よりも細いそれは酷く脆そうに見えた。

 その為にヒヅキは女性に確認の問いを投げたのだが、女性はそれを当然のように肯定する。

 女性の返答にやや困惑したヒヅキではあるが、場所が場所なうえに女性が守護者を語った時の事を思い出し、その考えを頭から追い出す。

(おそらくあの時の女性は、俺にこう言いたかったのだろう「貴方で倒せるかどうか……」 と。そして今の女性は「私が相手しましょうか?」 とでも言いたそうだ)

 ちらと自分の方を見ている女性の表情を盗み見たヒヅキは、内心で溜息を吐く。別に口惜しいとか侮るなとかは感じないが、それでも自分の実力を客観的に教えられたようで、何だか少し情けなくなった。

(知っていたはずなのだが)

 そう思うも、女性はヒヅキから見ても上位者だ。ヒヅキが戦っているところも何度も見ている。それでいて守護者の強さも知っているのだろう。であれば、ヒヅキでは厳しい相手というその評価はおそらく正しい。

 しかし、ヒヅキとしては敵わないなりに神や女性に食らいつこうと思っているので、ギリギリの相手というのは、ヒヅキにとって都合の良い対戦相手でもあった。なので、ヒヅキは危険は承知で戦ってみようかなと思った。

「私が相手をしてもいいですか?」

「ええ、勿論。貴方が戦っている間は私はここに居ますので、必要であれば声を掛けてください」

「分かりました。ありがとうございます」

 危なくなったら助けを呼べ。そう言った女性にヒヅキは頭を下げると守護者の方へと向き直り、光の剣を現出させながらゆっくりと、しかししっかりとした足取りで近づいていく。

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