護衛任務6
小屋に到着すると、そのまま中に通される。
そこは物置小屋か何かだったのか、だだっ広いだけの小屋で、寝具の類いはおろか椅子のひとつさえ用意されておらず、各自が自前の寝具を荷物から引っ張り出しては、めいめいが思い思いの場所で好きなように眠っていく。
今が冬であったならば、この中から凍死者が出たのかもしれないが、幸い今は夏である。暑さで寝苦しくはあっても、凍死者は出なかった。ただ、虫による被害はそれなりにあった。といっても、殆どが虫刺され程度のものではあったが。
翌朝、陽が昇る前に起き出した一行は、空が明るくなった頃にはコント砦の外にいた。
これからガーデンへと帰るのだが、行きと違い荷台が無いために、速度は比べものにならないぐらいに早かった。
その道中、ヒヅキはシロッカスにもう少し仕事を手伝わないかと誘われる。
どうやら武器輸送の仕事はまだあるらしく、このままガーデンに戻った後は、ガーデンで出発の準備をしている第2陣と合流してから再度出発する予定だという話だった。
シロッカスは、それに護衛として今回のようにヒヅキも参加しないかと提案し、ヒヅキはそれを了承する。こうして、ヒヅキの次の仕事が決まると、隣を歩いていたシラユリが、「ヒヅッキー引き続きよろしくー」と、手を差し出してくる。
ヒヅキがその手とシラユリの顔を見て戸惑いの表情を浮かべると、次の輸送の護衛も同じメンバーだという話を聞かされ、ヒヅキは納得するとともに、「よろしく」と、シラユリの差し出した手を取ったのだった。
そのまま一行はガーデンへと進む。道中、スキアどころか賊などにも遭遇せずに順調に進んだために、行きは12日掛かったのが、帰りは途中幾度も休息を挟んだにも関わらず、7日ほどで到着した。
ガーデンに帰還すると、そこで人足の人たちとは別れ、ヒヅキ・シラユリ・ロング・ムゲンとシロッカスの五人は次の武器輸送の準備をしている場所に移動する。
そこでは既に準備が整い終わっていて、予定通りの帰還だった為に、武器を積んだ荷台を押す人足の人たちも既に揃っていた。
シロッカスはヒヅキたちに疲れていないかの確認を取ると、大丈夫そうだと判断してから、人足の人たちを事前に決められている各自の持ち場に移動させる。そうして武器輸送の最終的な準備を終えると、ヒヅキたちはガーデンを進発したのだった。