表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫羅義  作者: 海道 睦月
15/125

その15

 神羅威が彼らの後姿を見送りながら立ち上がると、羽宮亜も同行することに賛成した。

 日も暮れてきたが、街道は一本道なので見失うことはない、しかし、日が落ちれば、灯りなどなく、歩く者もないので危険このうえないのだ。辺りの 暗さが増すごとに羽宮亜と神羅威の顔を不安という翳りが覆い始めていた。

 先に小さく灯りが見え、人の声も聞こえてきた。

「こんなところで野宿するのはさっきの一団に違いない」

 二人はその灯りに向かってさらに歩みを早めた。

「旅の途中で日が暮れてしまいました。御一緒させてもらってもよろしいでしょうか」

 火を囲む集団に二人は声をかけた。

「それはお困りでしょう、どうぞこちらへ」

 二人は火のそばに招かれた。

 やはり先ほどの集団、紫羅義の一行であった。

「やあ、あなた方は町外れで釣りをしていた人だね」

 紫羅義がにこやかに声をかけた。

「あ、え、いえ、ええ、見ていたんですか?」

 二人は返事にならない言葉を吐いた。

「あなた方は釣りをしていたようだが、竹だけを延ばして、どうやって魚を釣ろうとしていたんだい?」

 紫羅義が続けて尋ねると、隣にいた趙士雲が、あっ! という顔をした。

「あ、あのときか、そうだったのか、そういうことか」

 趙士雲は頷きながら声をあげた。

「竿の先に何も付いていないのに気が付かれていましたか」

 神羅威が怪訝そうな表情で聞いた。

「はっはっは、俺はけっこう目がいいんだよ」

 紫羅義は笑いながら答えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ