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  作者: 湯城木肌
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 火曜日の五時限目は総合的な学習の時間、略して総合だ。

 他の学術的な教科を学習するだけでは得られない、今の社会を生き抜くために必要な能力を得るきっかけを作る授業だ。今回は自立することについての話をされた。

 高校も義務教育下で、多くの生徒が保護者に守られた生活を過ごすことになるだろう。だけれど、依存したままでは人生を生きていくことは出来ない。中学を卒業するまでに掃除や洗濯、料理を経験しておこう。簡単にまとめるとそのような内容だった。

 一通りの家事は日頃の手伝いで経験はしている。しかし自主的に行うのではなく、親に頼まれたときに行う義務的なもので、自立とは真反対の位置にあるといえなくもない。能力が身についたかも怪しいものだ。

 五時限目が終われば、次は掃除の時間だ。この時間は今日の授業が終わり、学校終わりが目前なので皆の気持ちが高揚している。その高揚する気持ちがいいように働き、皆積極的に掃除活動に参加するのであたしの作業量が減り、ありがたかった。

 教室掃除を終え、手洗い場へ足を運ぶ。掃除の後に手を洗わないのは、例え見た目が汚れていなくとも、気持ちが悪かった。潔癖症ではないと思うので、毎度の儀式みたいなものだと感じている。

 蛇口を閉め、ポケットからハンカチを手洗い場で取り出して手を拭く。ハンカチを仕舞って、教室内へ戻ろうとすると少女が仁王立ちで待ち構えていた。宇賀さんだった。

「芽衣ちゃん、もうこれしかない」

 宇賀さんは軽く俯き、顔を上げてあたしの顔をじっと見る。何のことだろうと彼女の言葉を待った。

「そう、死神さんに出会った。違う? もう、これは正解でしょ!」

 彼女は人差し指を伸ばした拳をあたしに突きつける。しばし考え、給食時間に言われていたことか、と思い出した。

「半分正解かしらね」

 彼女の目を見据え答える。

 大きな鎌を持ち、黒装束をまとった骸骨の風貌の者のみを死神と呼称するなら違うが、死を運ぶ者を死神と呼称するなら彼は似たようなものだ。死を運びはせず手を下しはしなかったが、あたしに死をつきつけてきた。未来から来たというのも付け加えれば、正解と言えるだろう。

「やった、正解だ!」

 拳を握り片手を掲げて、彼女は喜びを表現する。どうやら彼女の耳には半分という単語は届かなかったらしい。

 満足したのか彼女は教室内へ移動し、道を開けてくれた。開いた入り口を通ろうとすると、ねえ、と彼女はあたしに呼びかけた。

「死神さんって、どんな格好だった?」

 彼女の想像している死神とは存在が違うかもしれないが、あたしの中にあるもので返す。

「学生服を着た、少年だったわ」

 どこかあたしに似た、と心の中で付け足した。


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