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続・EYES  作者: 早村友裕
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6.アリアへ


「ミ、ミーア?!」

「マサキ!」

だいぶ岸を離れ、すっかり普段の服に着替えたマサキは、甲板に懐かしい人影を発見した。

「何で?何でいるんだ?」

「久しぶりね。」

変わっていない。全然変わってない。

「ガルディー医師の助手として、この派遣団に加わったのよ。」

「ほんと?!やったあ!!」

マサキは飛び上がって喜んだ。

「そういやお前、打ち合わせの時寝てたもんな。」

シンジが横から口を出した。

「うっさい。」

ハールにも同じこと言われた。

「いいじゃないか、別に。寝てよーが寝てまいが。俺の勝手だろ?」

「あほか、お前は。」

シンジがマサキの頭を小突く。

「しかもアリアの王に挨拶に行く事も知らなかったんだろ?」

「えっ。何で知ってんの?!」

「ハールが言ってた。」

「うう・・・ハールの奴め・・・。」

「私がどうかしましたか?」

「ハール!よけーなことシンジに言うんじゃねーよ!」

「よけいなこと?何の話でしょう?」

「俺が打ち合わせ(ミーティング)で寝てたってことだよ!」

「なぜですか?シンジさんはマサキ様のお隣であなたが居眠りなさっているのを見てらっしゃいましたので、別にそれは私のせいではございません。」

「あーもー、そーじゃなくて俺がアリアに行くって知らなかった事!」

「え?マサキ様、アリアに行くことを御存じなかったのですか?前に何度も申し上げましたよ。」

「ちがうっての!えーい、もう!」

マサキはハールの鈍感さに地団太を踏んだ。

「いいよ!もう!」

「何を怒ってらっしゃるのですか?」

「何でもねえ!」

マサキはくるっと振り向いた。

「<アキラ>!」

妖鷲のアキラを呼び付けると、二人(?)でどこかへ行ってしまった。

ミーアはその後ろ姿を見送って言った。

「変わらないわねえ。」

「まったくだ。」

「そう言えば、シンジさんとミーアさんはお知り合いでしたね。」

「ああ。まだマサキの中にビルラがいた頃だ。」

「ビルラ・・・ですか?闇龍の?」

「あ、そうか。ハールは知らないんだ。GOLDEN MEMORYの真実。」

「私も知らないわ。闇龍がマサキの中にいたって、どういうこと?」

「ミーアも?そうか。じゃ、話してやるよ。俺たちの冒険の話。」

「本当?」

ミーアが嬉しそうに笑った。

「ここじゃなんだから、中に入ろう。」

3人は船室に入った。


ちょうどそこにいたガルディー医師とガーネットも話の輪に加わった。

「この話はまず、15年前、金色の瞳の王子がこの国に生まれた事から始まるんだ。」


シンジは冒険の最中にアキラから聞いた<アキリア王子>の生い立ちとマサキとの出会い、そして王宮を抜け出し、アトリアでシンジと出会い出港するまでを話して聞かせた。

ここまでにはまだウィオラやビルラは出てこない。でも4人は真剣に話を聞いていた。


「私と会う前に、そんなことがあったのね。」

ミーアがちょっと驚いたような瞳でシンジを見た。

「シンジさん、話すのがとてもお上手ですね。思わず引き込まれてしまいますよ。」

「そうか?」

「そうだ。俺も久々に人の話をまじめに聞いたぞ。」

お師匠様、いつも人の話聞いてませんものね・・・。

ミーアは心の中でそうつぶやく。

「私も同感だ。その話を、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。」

「たくさんの人に・・・か。」

「文章にしてみてはどうだ?お前ならできそうだ。」

ガーネットの提案にミーアはいち早く賛成した。

「それがいいわ!それならたくさんの人が読んでくれる!」

「そうですね。それがいいですよ。ウェスタ王に御相談になればきっと援助してくださるはずです。」

「やってみようかな。」

「がんばって、シンジさん。」

ミーアがにっこり笑った。

シンジはちょっとだけやる気がわいてきた。



「シンジ。ここ4・5日何してんだ?部屋に閉じこもって。」

「ん?ああ、ちょっとな。」

シンジは次の日からさっそく話を書き始めた。

航海はすでに1週間をすぎ、明日ぐらいにはアリアに到着するだろう。

「そうだ。あのさ、ウルク島で初めてウィオラが出た時さ・・・。」

「ウルクぅ~?そんな昔の事忘れちまったよ。」

まだ聞いてねえのに。

まあ、いい。帰ってからアキラに聞くから。もともとマサキの記憶力に期待してないし。

「それより、いま何やってんだよ。俺に言えねー事か?」

「違う。マサキには秘密にしときたいんだ。」

「ふーん。」

マサキの興味がそれたようだ。よかった。

この編纂が終わったら、最初にアキラとマサキに読んで欲しいからな。

「マサキこそ暇もてあましてるだろ。何やってるんだよ。」

「俺?俺は強くなるために日夜特訓中。」

マサキがにっと笑って左手に投擲、右手に碧い光を集めた。

集められた妖力の量が格段に増えている。キチ島でクロークに習っていた頃とは比べ物にならない。

「もう水も操れるもんね。シンジには負けねーよ。」

マサキがくいっと手首を返すと、海水が飛んできてシンジにざばっとかかった。

「・・・。」

「へへへ。」

マサキは得意そう。

と、そこへメシアが血相を変えて飛んできた。

「マサキ!何やってるの!」

「か、母さん・・・。」

「言ったでしょ!むやみやたらに妖力を使わないようにって。今のあなたの力はまだミドルクラス・・・私の妖力あなたの力を封じるのは簡単なのよ。そうされたくなかったらおとなしくしてなさい!」

「・・・。」

「マサキ。お前妖力を使えるようになって嬉しいのはわかるが手加減しろよ。」

シンジはマサキの額を指ではじいた。

「はーい。」

シンジの言葉に素直にしたがったマサキを見て、メシアは少しあきれた。

「シンジは完全にマサキの事をコントロールしてるようね。」

「長い付き合いですから。」

そしてシンジは両手に炎の妖力を集めると、自らの全身を炎で包んだ。

「シンジ!」

マサキがびっくりして、大きな瞳をさらに大きくした。

「大丈夫。服を乾かしただけだ。」

シンジが炎を取り払った。

そこへメシアの雷が落ちた。

「シンジ!あなたもよ!妖力を封じられたくなかったらおとなしくしてなさい!!」

もちろん二人が素直にメシアにしたがったのは言うまでもない。



次の日、日が高くなった頃水平線に大陸が見えてきた。

水兵隊長のディオソニーがシンジに報告する。

「シンジ君。もうすぐコサラの港に入港するそうだ。」

「わかった。」

シンジはマサキの首根っこを捕まえて、船室に引きずり込んだ。

「なにすんだよっ。」

「さっさと着替えろ。」

「あ、そっか。」

マサキとシンジは正装に身を包んだ。

「じゃ、いくか。」

「ああ。」

マサキの青と黒の瞳が、シンジの青い瞳が光を帯びる。

アリアで最大の港、コサラはもう目の前だ。



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