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「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」
「何だ、それは」
ある夜のこと。
本を読んでいた綺羅が、ふとつぶやく。
良桜は振り返って尋ねた。
「人間族の間に伝わる詩だそうだよ。鳴かない鳥ならば、鳴くまで待とうと」
綺羅は振り向いて微笑む。
良桜はゆっくり近づくと、椅子の背ごと綺羅を抱く。
「綺羅が待っていてくれるのならば、わたしはいつでも応える」
それは幸せなひととき。
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