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214  作者: Nora_
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「本当は好きでした」

「そうなのか?」

「はい、でも、同じように優しくしてくれた春さんの邪魔をしたくなかったのです。だから春さん」

「ひぇあ!?」


 流石に驚きすぎだろう、でも、こうやって分かりやすく反応をしてくれる点は悪くない。

 淡々と対応をされるだけも相手をしてくれている分悪くはないが適当感がないからだ。


「安心してください」

「安心……できないよ」


 不安定になってもそれを表に出してくれるからまだなんとかなる、夏穂みたいに隠されてしまうとそれはもう大変だ。


「そうならそうとちゃんと言ってほしかった、ちゃんと動いたうえで勝悟君から選んでもらいたかった」

「それはすみませんでした」

「……いやごめん、ちょっと勝手な発言だった」

「気にしないでください」


 完全にとまではいかなくても普段に近い形に戻ってくれたから気まずい時間は終わった。

 本当のところが吐かれてももう変わらないからこの話はもうしなくていい――と考えていたのだが、知樹が来たことによってまた戻ってくることになった。


「じゃあ俺もそろそろ誰が好きなのかを吐くとするか。俺が好きなのは勝悟――」

「きゃー!? えっ、そ、そういうやつ!?」


 そういえば高校のときの同級生に所謂腐女子と呼ばれる女子がいたことを思い出した。

 本当なら隠しておくべきなのに同じ趣味仲間の女子相手に大声で話をしていたから勝手に耳に入ってきて困ったものだ。

 だが、身近にいる存在で妄想的なことをしているわけではなかったため、あれもまた一つの趣味だよなと片付けることができたことになる。


「まあ聞いてくれ、勝悟の母さん――」

「き、禁断の愛です」


 二十歳、成人してしまえば友達の母と結婚、なんてこともできるのだろうか?


「ははは、勝悟でも勝悟の母さんでもない全く別の女性だ」

「女性ということは年上か」

「そうだな、奇麗な人なんだ」

「それなら夏穂ちゃんでいいじゃん」


 またなんか変なことを言い始めた、先程のことはもう忘れたらしい。

 終わった話だとしてもいますぐに言っていいことではない、少なくとも俺や春は絶対に口にしてはいけないことだった。


「掃部さんは勝悟が好きなんだろ、それにその人とは昔から関わりがあるからな。まあ、残念ながら今年、結婚するんだけどさ」

「苦しいですね」

「でも、掃部さんという仲間がいるからまだなんとかやれているよ」

「佐藤さんという仲間がいてよかったです、そうでもなければこの二人の相手はできませんから」


 だからこんなことになる、俺まで巻き込まれてしまっている。


「え、なんか冷たくない?」

「酷いことを言う春さんにはこれぐらいでいいのです」

「そんなぁ……」


 正直、春に関しては自業自得だからなにかを言ったりはしなかった。

 それからも知樹と夏穂の二人だけが盛り上がっていた。 

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