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10分程度で読めるショートストーリー

ラジオがつなげた運命

作者: アオ

麗奈「壮太、ずっとずっと一緒だよ。」

僕「うん!ずっと一緒!」

ふと僕、天田壮太(あまたそうた)は幼稚園のときからの幼馴染の伊藤麗奈(いとうれな)との

会話を思い出した。麗奈とは本当に小さい頃からの仲でたくさん遊んでいた。

この会話は確か幼稚園のときに砂場で一緒に遊んでいたときのだ。

この頃僕たちは「結婚」という言葉を始めて知ってずっとずっと一緒に

いられる魔法のような言葉と思っていた。多分、あの頃の僕たちはこんな

嫌な世間のことなどを一切知らずにあんなことを言っていたと思う。


それが幼稚園のときの話で、僕たちは同じ小学校に入学した。

まだ低学年のときは一緒に遊ぶ仲はそのままだった。しかしいわゆる思春期で

ある高学年になると周りの目を気にしだして次第に遊ぶことはなくなっていた。

遊んでいると周りから「付き合ってる?」と聞かれることが多く正直、僕は

うんざりしていた。麗奈も同じ考えということだったので疎遠になった。


しかし小学校を卒業後、僕たちは中学校へ入学した。

中学校になると麗奈はいわゆる"陽キャ"グループに所属していた。

かなり顔が整っていた麗奈は周りの女子からはもちろん男子からも

好かれてた。顔だけではなく性格もかなりよかったから納得していた。

今思うとこの時僕は麗奈に好意を寄せていたと思う。

しかし麗奈はその時の僕にとって高嶺の花だったので小学校の高学年と

同じで遊ぶことはなく、話すことも少なかった。そんなある日、

麗奈「壮太、ちょっといいかしら。」

僕「?麗奈が話しかけてくるのは珍しいね。で何?」

麗奈「相談というか手伝ってほしいことがあって。」

僕「ほう。」

麗奈「いっ.......一緒に生徒会に入ってくれない?」

僕「うん。ってえぇ~........」

まさかの麗奈からのお願いというのが生徒会に入ってほしいと言われたのは

びっくりした。麗奈は"陽キャ"グループだから票は集まるかもしれないが

僕は陰キャと陽キャの中間の"なんとも面白味のない者"で全く票が集まらないと

思ったからだ。それになぜ僕を?という疑問が残ったのだ。


渋々ならがも僕は承諾し、生徒会選挙の日。この日はずっと汗だくだったので

かなり覚えている。選挙後日.......見事僕たちは当選を果たして生徒会に所属。

1年生だったのであまり学校を動かすようなことはできなかったがそれでも

今考えればかなり貴重な体験ができたと思う。

1年は何事もなく終わって終了かと思いきやまた麗奈が

麗奈「もちろん2年もやってもらうからね。」

と元気に言ってきた。1年の時と同じように渋々でオッケーを出した。

オッケー出したのはその時に好意を抱いていたからだと今思う。

そして2回連続で当選を果たしまたもや生徒会に。

以前からもそうだったがこの時から麗奈はさらに生き生きとしていた。

それにつられて僕も麗奈といると楽しい日々を送れていた。

しかし2回も連続で僕と麗奈が生徒会に入っていて仲が良かったことから

学年中で2人は付き合っているという噂が流れ始めてしまった。


小学校の時も同じようになってしまい疎遠になる原因だった。今回も

それになるのかと思ったが、どうやら麗奈は気にしていない様子だった。

僕は麗奈に好意を抱いていたから少し残念な気持ちになっていた。

そして中学校の最後の学年である3年生ではなんと麗奈が会長に君臨した。

僕はというと副会長にまでなっていた。そして麗奈はより良い学校に

しようと頑張っていた。本当に今思い返してもあれだけ頑張っていた

麗奈に僕は好意だけではなく憧れまでも抱いていた。


そして濃い中学の3年間は終わりついに高校生へとなった。

僕は近くの偏差値が高い高校へと進学した。自分で言うのもあれが元々

頭が良かったためその高校へは普通に入ることができた。

驚いたのはここからだ。なんと麗奈もこの高校に進学していた。

正直、麗奈は学力は平均程度でここの高校には無理というレベルだった。

しかし、麗奈は勉強も頑張ったようでここまで来ていた。

本当に尊敬の気持ちが強かったことを覚えている。


麗奈「よっ!壮太、私もここまで来たよ!」

僕「ほんと、麗奈ってすごいよな。斜め上の方向からくるよ。」

麗奈「それけなしてるの?ほめてるの?」

僕「ほめてるよ。本当に尊敬してる。」

麗奈「.........そっか......高校になっても生徒会に入るんだよね。」

僕「麗奈はなぜそこまで生徒会にこだわるの?」

麗奈「だって!生徒会ってカッコイイから!」

僕「まさか中学のころからずっとアニメに影響されていたってこと?」

麗奈「そうだよ!」

僕「言うて.......生徒会はそこまで権力をもってないぞ。どうせ

  アニメでこんなことをやっていたからやりたいとか思っているんだろ。」

麗奈「..........おっしゃる通りです.......」

僕「ほら。でもいいと思うぞ!よしこれからも付き合うぜ!」

麗奈「本当!?ありがとう!じゃあよろしく~!」


麗奈の言う通りこの高校でも僕と麗奈はまた一緒に生徒会に入った。

中学と違ったことといえば思った以上に生徒会の権限が強いことだ。

アニメのことはできないと言ったが呼びかければできてしまうかもと

いうくらいの権限を持っていた。それだけ強かった。

そして1年は楽しく終わった。1年"は"だ。


2年に入ると麗奈の様子がおかしかった。あれだけクラスの中心的存在

だったのだが正反対に落ち込んでいる。周りも気にしているようだったが

誰1人としてその理由を知っている人はいなかった。

そして夏休みの前のある日のHRの時間。

あの時間のことは今も鮮明に覚えている。

先生「え~。麗奈さんは家の都合によって転校することになった。」

そのとたん、静まっていた周りはあっという間にうるさくなった。

その間、僕は頭が真っ白になっていた。好意を寄せていたのもあるが

何よりも楽しかった麗奈と離れるのは嫌だった。


HRの時間が終わると僕はすぐさま麗奈を呼び

僕「なんで.......」

麗奈「.......仕方ないよ。お父さんが転勤することになったから.......」

僕「でっ......でも」

とここで僕は我に返った。いくら幼馴染でもこれは麗奈たちの家族の話だ。

僕が口を出すところではなかった。それを理解して

僕「いっ......いやなんでもない。」

麗奈「うん.......本当にごめんね。私も壮太とは離れたくない。」

僕「うん。僕もそうだよ。」

何年も過ごしてきた僕たち2人にとっては苦しい状況だった。


そして夏休み中、麗奈はこの学校を転校していった。

夏休みが明けて、麗奈がいない学校を登校したが僕には話相手が

麗奈しかいなかったため居場所がなかった。

麗奈がいなくなって始めて僕は麗奈にたくさん助けてもらっていることを

知った。そして同時に恋愛感情も湧きあがってきた。

と言ってももう麗奈は転校してしまって気持ちを伝えることはできないのだが.......


それからというもの僕は麗奈の気持ちを背負うように生徒会に立候補した。

麗奈のおかげもあってかもしれないが見事、僕は中学のようにずっと

生徒会に入っていた。最後には、会長になってこの学校を支えた。

麗奈がいなくなってしまった高校だったがなんとか卒業できた。


そして僕は大学へ進学した。このまま就職してしまうのもありだったが

せっかくなので僕は大学へ行くことにした。大学では高校までとは

大きく違い、学力も大きく変わった。自分の追求したいものにふれ

ひたすらに追及していくという形でおどおどしていた。

しかし僕はそんな大学生活もすぐになれた。高校とは違った楽しみが

あって大学も悪くはないと思った。


大学を卒業後、僕は大手企業に就職することができた。

今まで培ってきた努力が功を奏したのであろう。かなり充実した毎日を

送れていると思う。そして僕は毎日ラジオを聞くのが日課になっている。

通勤は主に電車を使うのだがその電車の中でラジオを聞いていた。

ラジオはパーソナリティが面白いかによってラジオそのものの面白さも

変わる。いつも聞いているラジオは面白いものばかりだ。


そんなある日..........休日に僕はラジオを流した。いつもはこの時間帯に

聞かないのだが今はちょうど時間が空いたので聞くことにした。

ラジオ「続いてのコーナーはラジオ相談室~。」

どうやらこのコーナーでは視聴者から頂いた相談を解決するというもの。

やることはなくこのコーナーを聞いてみることにした。

ラジオ「ラジオネーム、あさ900さんから。ありがとうございます!」


~手紙~

毎週楽しく拝見させていただいています。実際にこのラジオにメッセージを

送るのは始めてです。今回、私が相談させていただく内容は人探しです。

探せなくても愚痴のような感覚で聞いてもらえると嬉しいです。

探してほしい人は男の人です。その人とは、幼稚園からの幼馴染で

毎日のように遊んでいました。しかし小学校になると次第に周りの目を

気にし始めて疎遠になってしまいました。

そして進学先での中学では私は思い切って彼に相談という形で生徒会に

入るという手伝いをしてもらいました。彼はいやいや入ってくれましたが

なんども生徒会に入るとそのいやという気持ちは消えていったと思います。

そして私たちは近くの高校へ進学しました。そこでも中学と同じように

私たちは一緒に生徒会に入りました。しかし、私が2年になるころ

私は家の都合で転校することになってしまいました。その時はただ

友達として寂しい気持ちでしたが、いざ転校してみると彼に恋をしていた

と自覚しました。理由としては友達と離れるではない違う悲しみでした。

高校になっても私はスマホを持っていなかったので連絡先も交換して

いなかったので今、会うことはできません。

でもこの思いを直接伝えたいと思い、私はメッセージを送らせていただきました。

今でも気持ちは変わっていません。ずっと彼のことを思っています。

なのでもし........もしこのラジオを聞いていたらお返事ください。

長文となってしまいましたがお願いします。


ラジオ「とのことです。もしこのラジオをお聞きの方、心当たりが

    ありましたらこちらのラジオにメッセージをお寄せください。」

僕はラジオを聞いて「きっと麗奈だ」と思った。そして僕はすぐに

そのラジオにメッセージを送った。

そしてその次の週.......再び同じラジオを聞くことにした。


ラジオ「続いてのコーナーはラジオ相談室~。

    先週メッセージを頂いたあさ900さんの探している人と思われる

    ような人からメッセージがありました。」


~手紙~

始めてメッセージをさせていただきます。以前このラジオで紹介されていた

あさ900さんのメッセージにピンと来るものがあったので連絡を

させていただきました。僕自身、幼馴染という関係もありそのことについては

かなり印象に残っています。よろしくお願いいたします。


ラジオ「とのことです!ここからは番組側がやることではないので2人で

    話を進めてください!そして何か進展があったらまたお便り

    待っています!それではここで一曲.........」


無事、ラジオの方には届いたようだ。ここで麗奈に届けば........と思っていた。

正直、あのとき言えなかった気持ちを僕からも伝えたいと思っていた。

でもその連絡手段がなかった。でもラジオという形で僕たちは再び出会うことが

できた。それだけでなんかうれしかった。そして翌日........


僕のメールのところに知らない人からのメールが。開いてみると

|要件:お久しぶりです

|昨日ラジオの方からメールを教えていただきました。壮太さんであっていますか?

|もし間違っていたらすみません。お返事まっています。

と書いてあった。おそらく麗奈に届いたのであろう。そう思い僕はすぐに

|要件:壮太です!

|メールありがとうございます!壮太であっています!というか幼馴染なので

|敬語使うのはやめますね。ラジオを聞いたときは驚いたよ。

と麗奈に送った。そして1時間後.......


|要件:うれしい!!

|そうだよね!私も!あの色々話したいので時間いただけますか?

と麗奈から送られてきた。僕は

|要件:わかりました

|いいよ!僕も久しぶりに話したいから

と送りこの後、僕たちは会う時間や場所を決めて会うことにした。


そして約束の日.......僕は約束の時間の10分前についた。

約束した場所は通っていた中学の近くの公園だ。ここにくるのはいつぶりだろう。

数分後.......メッセージではやり取りをしていたが実際に会うのは数十年ぶりだ。

麗奈「おっ.......お久しぶり。」

僕「うっ......うん。久しぶり。」

僕たちはかなり緊張していた。

麗奈「なんか私たち、めちゃくちゃ緊張しているよね。」

僕「そうだね。」

そして僕たちは近況報告をした。麗奈は僕と同じく大手企業に努めているとのこと。


麗奈「ねえ。あのさ........」

僕「うん」

麗奈「わっ.......私さ、じっ........実は小学校のころから好きだったんだよね。」

僕は驚いた。僕のことを好きだとは知っていてもそこまでは知らなかった。

僕「そうなんだ。」

麗奈「うん。で、私高校の時に転校しちゃって気持ちを伝えれないまま........」

僕と麗奈の話をしているのに全く別の人の話のように聞こえる。

僕「そっか..........」

麗奈「だからさ、あのっ.........昔も今もずっと好きです!

   よければ......お付き合いしていただけませんか?」

僕「僕も麗奈がいなくなってから恋心に気が付いた。僕自身も麗奈が

  いなきゃダメだった。僕からもお願いします!」

麗奈「えっ!?えっ!?ほっ........本当にいいの?」

僕「告白した本人が何言ってんの。もちろんだよ。」

麗奈「うっ.......うれしい。もうずっと前のことだから好きの気持ちも

   ないと思っていたから........」

僕「そんなわけないいよ。僕はずっと君に心を奪われていたよ。」

麗奈「壮太........」

僕「これからよろしく!」

麗奈「うん!」

そう言って僕たちは祝福しているかのような太陽の日を浴びながら街を歩いた。

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