2/4
ピエロ
誰にも見られない努力は
きっと無駄なのかも知れない
誰にも気付かれない優しさは
きっと要らないのかも知れない
それでも私は誰かのためなら頑張れる
私の勇気は君を守るためなら勇者にだってなれる
英雄や騎士にはなれないとしても
私は頑張っている君を応援したい
誰かのために一生懸命になれる君の背中は素敵なんだ
汗がびっしょりになったTシャツが
夏風に靡いてはためく影が美しい
君はきっと優しいんだ
君は絶対優しいんだ
だから私は君を無意識で追いかけてる
人影の無い放課後の体育館で
ポストを揺らす君は
キュッキュッとタイヤが鳴る
蝉時雨と共に
背番号が無い君が投げる放物線
一瞬の事故で君は翼をもがれてしまっても
ゴールポストを揺らす君へ
君はある時言ったね
笑いながら
ピエロみたいだと
私はその時何も言えなかった
だけどね
だけどね
知っているんだ
その笑顔のピエロの仮面の裏を
大粒の涙を溢しても
最後の夏を
毎日、ゴールを揺らす君を
ピエロなんかじゃない
私にとって君は最高のPG