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隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして  作者: 内村一樹
第3章 塔

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第20話 花柄か水玉か

 私達のクラス、1年2組は文化祭ぶんかさい射的しゃてき()()のミニゲームをすることになったらしい。

『など』の部分ぶぶんについては、未定みていだって花楓かえでが言ってた。

 初めは射的しゃてきだけだったけど、流石さすがに少なすぎると生徒会せいとかいから指摘してきがあったとのこと。

 まぁ確かに、教室きょうしつ全体(ぜんたい)を使ったお屋敷やしきとか、クラス全員ぜんいん参加さんか演劇えんげきざってたら、わる目立(めだ)ちするかもね。


 そんなこんなで、吉田よしだの言ってた当番とうばんやく極力きょくりょく減らしたいっていう思惑おもわくは、想定そうていどおりとまではいかなかった。

 それでも、かなり楽な部類ぶるいだから、個人的こじんてきにはありがたい。


「ちょっとスーミィ? ちゃんと聞いてる?」

「聞いてる聞いてる。で、なんだっけ?」

「聞いてないじゃん!」

 憤慨ふんがいする花楓かえで両手りょうてには、花柄はながらのテープと水玉みずたま模様(もよう)のテープがにぎられてる。

 いま私達は、買い出しはんとしての役割やくわりまっとうしてるところ。つまり、放課後ほうかごの時間を使って、出し物に使う消耗品しょうもうひんの買い物に来てるワケだ。

 もちろん4人でね。


「どっちがウチのクラスに合ってると思う?」

「え? その2択なの?」

 どうやら花楓かえで脳内のうないはお花畑はなばたけらしい。

 そういう意味いみじゃ、花柄はながら正解せいかいなのかな?


 私が適当てきとうにそんなことを考えていると、花楓かえでがため息をこぼす。

 勝手かってに聞いておいて、失礼しつれいじゃない? って言うか、聞く必要ひつようあった?

「スーミィに聞いたワタシが馬鹿ばかだったよ! それじゃあ、トモミンはどう思う?」

「ふぇ? わ、私、ですか? どっちかと言われたら、水玉みずたまの方……だと思います」


 不意ふいに声を掛けられて、手にしていたストライプがらのテープを落としそうになったのは、みなみ智美ともみ

 少しくせの入った長い黒髪くろかみ背中せなかたばねていて、やわらかさを感じさせる顔立ちの美少女びしょうじょだ。

 性格せいかくはかなり引っ込み思案じあんなのか、いつもオドオドしてる。


 役割やくわり分担ぶんたんから1週間、彼女を見て分かったことがある。

 それは、彼女の仕草しぐさは男子にとって破壊力はかいりょくがあるってこと。

 まぁ、小柄こがらで大人しい彼女に、眼鏡めがねの奥から綺麗きれいな目で見られたら、動揺どうようするよね。

 そう思いながら、彼女の豊満ほうまんむねと彼女のとなりに立ってる山田やまだ見比みくらべた私は、一人でしずかに納得なっとくする。


水玉みずたまかぁ……なるほど、風穴かざあなってワケだね」

「どんな発想はっそうしてるんだよ」

「そ、そんなつもりで言ったわけじゃないですよ!?」

 水玉みずたまと答えたみなみをじっと見ながら、うなずいた花楓かえで

 もちろん山田やまだあきれた表情ひょうじょうをしてるし、みなみあわててる。

 うん、みなみ風穴かざあななんてそんな物騒ぶっそうなことを考えるわけないから、きっと花楓かえで勝手かって妄想もうそうなんだと思うことにしよう。

 そうだよね?


射的しゃてきなんだから、弾痕だんこんがあってもおかしくないでしょ? さすがはトモミンだね。スーミィも見習みならってほしいよ」

「はいはい、どうでも良いから早く買って来てよ」

「は~い」

 こんな感じで、適当てきとう雑談ざつだんをこなしながらるものリストに沿って買い物を続けてる。

 荷物にもつ持ちは山田やまだだ。


 買い物かごを持った花楓かえでは、手にしていたテープを両方かごに入れた後、レジに向かった。

 って、両方買うつもり?

 どうでも良いと言った手前、指摘してきすることもできないまま、私は花楓かえでがレジぶくろ山田やまだ手渡てわたすのをながめた。

 すでいくつものふくろを手にしてる山田やまだ

 これ以上の買い物はむずかしそうだと判断はんだんした私達は、そのまま一旦いったん学校に戻る。

 すでにもぬけのからになってる教室に荷物を置いた私達は、そのまま解散かいさんした。


 こんな日が、もう数日続いてる。

 いつも教室に戻った時には誰も居なくて、本当に作業が進んでるのか疑問ぎもんだけど、特別とくべつやる気があるワケじゃないから、放置ほうちするしかないよね。

 それよりも、毎日のクラスの様子に大きな異変いへんが無いことに、私は少し安堵あんどしてた。


 かなり居心地いごこちの悪い空気がただよってれば、誰かの感情かんじょう暴発ぼうはつしてもおかしくない気がしたから。

 でも、そんな素振そぶりは無いし、花楓かえでも何も言ってこない。

 きっと、取り苦労ぐろうに終わるに決まってる。


 そんな楽観的らっかんてきなことを考えながら、ベッドにもぐりこんだ私は、今日も今日とてねむりに落ちる。それから2週間しゅうかんとくに何も起こらず、私達は学生がくせい生活せいかつを過ごしながら文化祭ぶんかさい準備じゅんびを進める。


 そして、その日がやって来た。日付は10月22日の木曜日もくようび

 いつも通り、あさ目がめた私は、朝食ちょうしょくを終えて身支度みじたくととのえた後、家を出たところでチャットが届いてることに気が付いたんだ。

 差出人さしだしにんは……花楓かえで

 そのことに気が付いた私は、少しいや予感よかんを覚えながらも、チャットを開く。


『今日の放課後ほうかご、できれば佐藤さとうちゃんを助けて欲しいな。できればで良いからね! あと、このチャットのことは、学校で話さないこと! それじゃ、また学校でね』

「どういう意味? 私が佐藤さとうを助ける? って言うか、なんで学校でこのことを話しちゃいけないの?」

 理由も目的も良く分からない。

 だけど、何かが起きる事だけは読み取れる。


 そんな不穏ふおんなチャットを何度も読み返しながらバスを待った私は、結局けっきょく何も分からないまま、スマホの画面がめんを消す。

 多分、考えても意味はない。

 花楓かえでは私達の考えを完全に把握はあくしてるんだろうけど、私は何も分からないんだし。


「このチャットの内容にれなきゃいいんだよね?」

 近づいて来るバスを見ながらそうつぶやいた私は、教室についた後、どうやって花楓かえでをからかおうか頭をめぐらせる。

 それくらいさせてもらわないと、対等たいとうとは言えないでしょ?

 なんて、自分の中のちっぽけないきどおりをしずめた私は、気を引きめて教室に向かった。

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