報告
「冒険家が戻ってきたな...?」
席に戻ったらすぐに、眼鏡を掛けたお父さんが僕に気づいた。
「うん!ただいま!」
「ユーラスと仲良くなったんだ!同じ歳だって!!」
「ユーラス...?」
息子の満足そうな様子を見るに、列車内を一緒に冒険した子のことだろうなと想像がついた。
「うん!次の駅で降りちゃうけど、手紙も貰った!」
トレッドは嬉しそうに友達の住所が書いてある紙を見せてきた。随分と好意にされてたらしい。お礼に行きたいところだが降りてしまうらしいので、目的地に着いたら手紙を出すことにする。
「そうか。それはよかったな。じゃあ、感謝の手紙をお父さんと書こうか。」
お礼の手紙を書くのは慣れていた方がいい。些細なことであっても自分の気持ちを文字に起こすことは勉強になる。
「うん!僕が書くね!紙ちょうだい!」
「うん。ちょっと待ってな。どんな種類がいいかな...?」
手持ち用の鞄を漁ってみる。仕事で使う便箋が幾つかと私用でも申し分ない華麗な便箋があった。
「ユーラスはお父さんと同じ職になりたいらしいから、それがわかる手紙がいい!」
軍人になりたいのだろうか。平和な仕事とは言い難いが、息子に私の職業の話をしたことがなかったので驚いた。トレッドも将来の話をするようになるのかな...?
「そっか、じゃあこれでいいな。」
共和国陸軍の紋章が印字された。無骨な便箋を使うことにした。便箋は酒保で買えるものなので、窃盗には当たらない。
「まずは、宛名をかいて。今日の出来事で1番記憶に残ったこと。感謝の気持ち。次会う約束。を書いてみなさい。ほら、お父さんの書き板に紙を乗っけて...。」
「わかった!えーっと。ユーラスどのへ...。」
「殿はいらないぞ。ユーラスへでいいんだよ。」
「わかった。ユーラスへ。列車で....。」
嬉しそうに書いてる息子を見ながら、窓を見るとユーラスたちが降りるであろう。街が見えてきた。麦畑の中にある大きな街だ。ここもどんどん発展していくんだろう。そう思いながら、息子の手紙を添削していた。
目的地まではあと3時間ぐらいだろうか。




