表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題シリーズ

校則 恋人

作者: リィズ・ブランディシュカ



 まさか入学早々、こんな事で困るとは思わなかった。


 入学式を終えた私達は、校門の所で話し合っていた。


 きっとどちらも今、「信じられない」という顔をしているに違いない。


 泣きたい。

 けど泣けない。


 辛いのは彼もいっしょ。


 私は、こみあげてくる涙を、必死におしとどめようとしていた。


 目の前には、ついほんの数分前まで彼氏だった人。

 彼は困ったような顔で、こちらを見ていた。


「ごめんね。別れたいだなんて勝手だよね」


 彼は今、別れようと切り出してきていた。


 私と彼は今まで付き合っていた。

 けれど、とある理由で別れるはめになってしまったのだ。


「まさか、異性と交流してたらだめなんて、そんな校則があったなんてね」


 私達はこの春、高校に入学した。

 でもその学校が、なんというか時代遅れで、恋愛にうつつを浮かすなんてたるんでる証拠、みたいな気風があるのだ。


 だって、さっき体育館で喋ってた校長先生が、めっちゃそれっぽい事言ってたし。


 別に内緒で付き合っていたっていいと思う。

 この学校には知り合いがほとんどいないのだから。


 けれど、「ごめん、僕が嘘が苦手なために」彼が致命的に取り繕うのがへたなのだ。


 そんな所も良いところだなって思ってるけど、今は死活問題。


 気にしすぎかもとは思うけど、校則やぶりで停学を食らってしまったらまずいという事で別れる事にしたのだ。


 涙をこらえていると、彼が頭をなでてきた。


「大丈夫、三年の辛抱だよ。高校を卒業したらまた付き合おう」


 私達は小指を絡めて約束を交わした。


 想いあっているのに、別れなくちゃならないなんて、辛い。


 けれど、彼も同じ気持ちだと思って、我慢する事にした。


 あーあ、世の中には馬鹿っぽい校則がたくさんあるのに。


 他のやつだったらまだ我慢できたのに。


 なんでピンポイントで私達の弱点ついてくるとこ選んじゃったかな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ