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28 受動的リア充の俺は出身地ネタで盛り上がる。

「あー、その。秘密にするにしても一つ条件を付けさせてほしいんだが……」


「えっと……体とか凄い額のお金は無理だけど、出来る範囲なら」


『今度の週末、俺とどこかに行かないか? とかどう?』


 天使様にしては真っ当なことを言っているような気がする。あくまで天使様にしてはーという前置詞が入るけれど。というか何を言っちゃってんですか花咲さん。自分のことはもっと大事にしなさい。


「その、今週末に俺とどこかに行かないか? もちろん行き先とかは花咲さんに任せるけど」


「……そんなので良いの?」


『作戦成功だぜ。ふふふ……お前らな、しれっと言ってるけどこれデートだぞデート。いやぁ、お互い気付いてないとかマジでウケる案件だわー。あははー』


 珍しくマトモなことを言っていたから気付けなかった。あの天使、とんでもないことを進めていやがったのだ。


 実際に行動に移してしまったのは俺だから文句の一つも言えないけれど。


「あー、ちょっと待って。俺、他の案考えるから。これじゃ完全にその……デ、デートになっちまうし?」


「あっ。そ、それは……その……他に良い案が出なかったらそうするってことで。いい、かな?」


 首まで真っ赤になる花咲さん。俺が見ているのが首だけなのが原因なのだけれど。デートの話題を吹っ掛けたあとに顔なんて見れるはずがない。


「あ……ああ。えっと……」


「うっ……マトモなアイディアがおもいつかない。なにをするにしても一緒に出かけることになるし……」


「あー、確かにそう……かもしれん」


 学校帰りだと誰かに見られてジ・エンド。学校の中だとしても、それは間違いなく当てはまる。


『このまま家の場所も聞き出しちゃいなよ、ユー! 今なら怪しまれないからさ。お家デートってのもアリよりのアリじゃん』


 それに、行くとすればお互いに行きやすい場所の方が良いだろう。いや、別に他意はない。おうちデートなるものを期待してはいないのだ。


「その、花咲さん……」


「なに?」


「えっと……まず行けそうな所絞ってからにしよっか。で、言いにくいとは思うんだけど、家の場所教えて貰えたりは?」


「良いけど。スマホでマップ開くからちょい待ってて」


 セーラー服のスカートのポケットから取り出されたのは手帳……ではなくスマートフォン。馴れた手つきでロックを解除し、現在地を表すアイコンみたいなアプリをタップする。


「えっと、この辺……かな」


 彼女の指は画面の上で優雅に滑り、地図は南の方に移動していく。もちろん県境などとっくに通り越している。


「いや……普通に学校から遠くね?」


 いつも乗り換え何回しているんだと聞きたくなるような場所。それも鉄道会社を何回かまたぐような乗り換え。


「じゃあ、どこから通ってるの?」


「乗り換え二回で帰れる場所だな」


 正直に伝えても良かったのだが、ここは不器用なりにもしっかりと会話の花を咲かせなければ。後ろで唸り続ける天使様を華麗にスルーしつつ、俺もスマートフォンをポケットから取り出す。


「それ、本州どこでも当てはまるよね? 新幹線とか使えば。つまり……」


 確かに今の交通網であれば、東京駅から大体の道府県には行くことが出来るらしい。ただし近畿の一部と四国と九州を除く。


「ちなみに俺の家はちゃんと関東だからそこのところ誤解しないでくれ。あと、翔んだりもしないし」


 直接的にダサいとかは言われてないと思う。多分。


「ならチバラ……」


「おのれ神奈川県民、我らが千葉を馬鹿にしやがって。これは開戦するしかないのかっ! うっ、でも勝てる気がしないっ!」


 我らがーとか言った時点で自白しているようなものだが、俺の頭はそんな細かい部分に気を配れるほど繊細ではなく。


「……ギ?」


 ただし変な所にはこだわりを持つのであった。


「しれっと栃木を巻き込むなっての! 茨城(いばらき)とセットにされるの自体はもう馴れてるけど、それを入れ始めたらキリが無くなるから。群馬とか埼玉とか色々」


 過去最高のペースで舌が回転する。酸素が足りない。そんな感覚が俺の脳を襲う。普段ほとんどしゃべっていないせいで、色々と退化してしまったのだろうか。


「一旦落ち着こ、ね。神奈川だって東京にはぼろ負けしてるわけだし?」


「確……かに。そうかもしれない。ごめん、無駄に熱くなって。じゃあこの話はこれで終わりってことで」


『あとはデートの行き先を決めるだけってわけだ。全部花咲ちゃんに押し付けてグッバイしても良いと思うけどなー』


「あはは……お互い住んでるエリアもわかったことだし。えっと、話戻しちゃうよ。お出かけの部分は決定事項として、その……デートみたいなコース選んでも良いの?」


 デートみたいなコースってなんだ。男女が二人でお出かけ。この時点でデート以外の何物でもないのに、さらに場所までデートに近づけるというのか。


「その、だな。デートみたいなコース……とは一体?」


「えっと……二人で遊園地、とかかな?」


 そんなもの俺に耐えられるはずがない。パリピリア充の波に飲まれてデッドエンドが関の山だろう。あとはいきなりプールにサメが現れて以下略とか。


 そもそもなんでそんなアイディアを恥ずかしげもなく出せるのか。とても興味深いと思ってしまった。

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