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300時間のシンデレラ  作者: 小塚彩霧
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第1話 終電のシンデレラ

気晴らしにユルい話を書こうと思います。

何も考えてないので、完結するのかすらわかりません。

悪しからずご了承ください。


「ほえー。コード書いても書いても終わらない。」


 人気(ひとけ)のないオフィスの時計は夜中の一時を過ぎた。もう終電もなくなってしまった。私の独り言が虚しく響く。


(家に帰りたいけど、あともうちょっとでとりあえず動く形になりそうなんだよね。)


 開発ツール(Eclipse)の中のプログラムソースを睨み付ける。

 ちょっと組み替えてはビルドして動作確認という試行錯誤を続けていた。運用保守が始まって五年経つこのシステムのソースコードは、色々な人の手を経てとんでもないスパゲッティソースになっている。


(あー!面倒な仕様だな!!こっちを立てるとこっちが立たずか。誰だよ!こんな組み方したヤツ!!)


 と言いつつ、きっと数年後には今の自分も未来の自分の敵になるんだろうと思うと、誰が組んだか知らないが、強くは責められない。

 私はすこぶるブラック企業に勤める、入社五年目のシステムエンジニア。プロジェクトメンバーはどんどん倒れていくが、大規模改修の納期は延びない。毎日終電なのに、一向に減らない不具合と仕様漏れ。いつしかチームでまともに動けるのが私だけになった。私もいつ倒れるかわからないが、なんとか踏ん張って不具合を潰し続けている。とうとう他部署の人達から『終電のシンデレラ』と呼ばれるようになってしまったらしい。


(今日はとうとう、終電も逃してしまった……。働き方改革?ナニソレ、美味しい?)


 何度目かわからないほどついた溜め息をつく。その時、システム開発部の入り口のドアが開いた。


「おい、何やってんだ、『終電のシンデレラ』。終電、とっくに終わったぞ?」


 ドアの方を見遣ると、営業企画部で同期入社のワタナベが立っていて、私の席に向かって歩いてくる。


「どーも。営業企画のエースさん。」

「別にエースじゃねえよ。上司や先輩がいるんだから。」

「あそ。でも、この前も社内の企画プレゼンで社長賞取ってたじゃん。アレ、製品化するんでしょ?いつからプロジェクト立ち上げんの?」

「さあ。予算が取れてないから、早くても来期じゃね?」

「ふーん……。」


 机の上には栄養ドリンクの空き瓶と摘まんだお菓子の空袋。客からの不具合票のエビデンスと不具合改修後のエビデンスが机の右袖のキャビネットに高く積まれている。


(この状態、見られるの恥ずかしいな。)


 アラサーの私は何時間もここに座り続けている。化粧も直さずなので、お肌の状況は芳しくないはずだ。この部屋の電気は私がいる島以外は消してあるけど。


「これ、ちょっとした要塞になりそうだな。」


 ワタナベがクスッと笑った。

 ワタナベも入社時はシステム開発部にいて一緒に研修を受けていた。一七五センチで細身、垂れ目気味の二重まぶた、鼻筋が通り、薄い唇のそこそこイケメン。女性受けが良いのと、プレゼン能力の高さを買われて営業企画部に異動になったのだ。ぶっちゃけ、プログラミング能力はあまり高くなかったのもある。適材適所とは言ったもので、ワタナベは水を得た魚のように新企画を出し、できた製品をバンバン売り、名実ともにエースになるのも時間の問題だった。社内の総務部や人事部、広報部の女性社員達にモテモテである。ちなみに、システム開発部に女性は私を含めて二人だけ。その先輩は社内結婚で既婚者であり、旦那さんはシステム開発部のエースで部内きってのイケメンなので、ワタナベなぞお呼びでない。


「そうね、こっち側にもキャビネットがあったら完全に要塞だね。その方がアンタの顔見なくて済んだわ。」

「わー、かわいくね。」

「可愛くなくて結構よ。手が止まっちゃうでしょ。そっちは仕事終わったの?いつも遅くまでご苦労様デスネ。」

「んー、まあね。帰ろうと思ったら、そっちがまだ電気点いてるし、終電なくなるのにどうするんだろ、って思って。」

「どーもしないわ。適当にタクシーとかで帰るから。」

「もうちょっとで終わるなら、車で送ってやろうか?」

「え?いや、アンタん家、チャリの距離じゃない?車をわざわざ出してもらうの、悪いよ。」

「いや、車出すのは俺じゃなくて、先輩。」

「!!!いやいやいや、そんな、滅相もない!!」


 私には好きな人がいた。営業企画部の先輩の徳永さん。彼はワタナベのようにアグレッシブなタイプではなくて、物静かだけど、コツコツと丁寧でアフターフォローに定評があり、たくさんの保守案件を受け持って、文字通り顧客からの信頼度ナンバーワンの人だ。華やかなイケメンではないが、眼鏡が似合うインテリ系で、私のタイプにジャストミートである。

 当然、ワタナベはそれを知っているので、こうしてワザワザ私の様子を見に来たのだろう。


 システム開発部の入り口のドアが開いた。


「ほらほら、もう帰るよ!笹本、さっさと帰る用意しな!」

「ほーら、徳永先輩がお出ましだ。アスカ、帰るぞ。」


 一気に顔が熱くなるのがわかる。


「は、はい!今用意します!」


 ソースコードとエクセルと、開いているファイルを全部セーブして閉じた。


プログラム言語はJavaです。

フレームワークはSpringBoot。

フロント側は何が良いですかね。今は何が流行りなんだろ?

Node.jsとかもう古いんかな。

Angularとかまあまあ面白いと思うんですけども。

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