登場人物紹介
おまけの登場人物紹介
・桜田綾子
現在二十九歳。六人兄弟の長女。三歳下に双子の弟。その二歳下から続けて妹、弟、妹がいる。
そういう環境で育ったため、しっかり者の長女気質となった。
ただ、恋愛偏差値はすごーく低い。鈍感を通り越して、まったくのスルーに泣いた男は数知れず……かもしれない。
谷口のことはまさに青天の霹靂だった。気持ちを知った日に口説き落とされて(と綾子は思っている)気持ちはジェットコースターに乗ったようだった。
でも「話が進むの~」と困ったように言ったけど、辞めたいとも別れたいとも考えていないのだから、気持ちの奥底には……ということだろう。
・谷口
現在二十七歳。綾子のチームに所属。現社長の息子。
もともとは引っ込み思案でおとなしい子供だった。本が大好きで一人でいることが多かった。
大学に入ると共に祖父の命令でバイトに行くことになった。実情はその会社が譲渡先を探していると聞いて実態調査のために送り込まれたのだった。だが、速攻でそこの社長にバレて、体よくこき使われることになる。
綾子がこの会社に入社したのは偶然。で、気持ちが社長にばれて(というよりも会社中にばれていた)さりげなくフォローが入るようになった。(つまり邪魔をしたのは彼らの好意によるものだった)
合併後、前の会社の社員の行動から周囲にもそれとなく綾子に好意を持っていることが拡散。そのうちに声もかけられない彼に同情が集まった。そこから綾子のチームに入ることを後押しされた。
チームに入り……他の人との連携の出来なさに、綾子から何度も注意が入った。仕方がないよね。一人が好きだったんだもの。
それでもチームに入ってからは綾子の視界に入ろうと頑張ってアピールをした。……けど綾子が鈍感すぎて全く気がついてもらえなかった。
綾子の元カレのことは二人がつき合いだした当時に、たまたま綾子と元カレの姿を見つけ、あとをついていってしまった時に、綾子とわかれた元カレが友人たちと話しているのを聞いてしまっただけ。そのあまりにもクズイ言葉に怒りが沸いたけど、自分に何ができるのだろうかと悶々としていた。
それを察した社長たちが……。
つまり、実は彼が動いて綾子を忙しくしてデートの邪魔をしていたのではなかったのでした。
まあ、でも、想いを知って貰えて、拒否をされなかったことで暴走したのは……いかんだろう。
おっと、忘れるところだった。大学の四年間はなぜか変装をさせられた。髪は少し長めでもじゃもじゃ……アフロに近いけど、あそこまでボリュームはない状態をキープ。黒縁眼鏡をかけていて、頬も少しふっくらとさせていた。……つまり特殊メイクをされていたんだね。おかげで女子からは全くモテなかった。
会社に入る時に普通の姿に戻ったけど、今までのこともあり女子との会話は苦手。アプローチをされても逃げる(笑)
それから『ストーカー』と思われているのは高校からの友人の誤解。綾子のことを追いかけまわしたわけではなく、お節介のやつらに連れ出されて行った先にデート中の綾子たちがいただけ。他に会社員になってからは残業で遅くなった時に、こっそり後をつけて綾子が無事に部屋に入るのを見届けたことが何度かあったから。……あっ、誤解じゃないかも……?
『陰険盗聴男』……実は盗聴してました。但し、今回の飲み会の会話だけ。スマホを繋ぎっぱなしにして、会話を聞いていたんです。でも理由が……半ば強引に進めながらも、綾子の気持ちに自信が持てなくて、友人との飲み会なら気持ちを話すんじゃないかと思ったから。
綾子の本音に落ち込んだりもしたけど、「嫌い」「別れたい」という言葉が出なかったことに安堵した。
☆書き忘れたー! なので追加。
彼が綾子のことを知ったのは、中学二年の時。親戚であり友達から、姉の学校の「文化祭に来い」と厳命されたと言われ無理矢理付き合わされた。そこで人混みに酔って気分を悪くした彼は、実行委員として見回っていた綾子(高校一年)に介抱された。その優しさに『なんかいいな』となった。
気持ちを持っていかれたのは、その年の年末が近づいたある日に街で具合の悪そうな女性に声をかけていたのをみたこと。女性を家族(?)が迎えに来るまで付き添っていたのを見ていた。
そこから綾子に近づくために志望校を変えて綾子と同じ高校に入った。
まあ、基本ヘタレなので同じ文化祭実行委員になってこき使われたのが関の山だった。まあ、実行委員長とただの委員じゃねえ。
で、婚約中に綾子に高校の卒業アルバムを見つけられ……問い詰められて自白。綾子がその時のことを覚えていたことに驚愕する。……が、このおかげで綾子の態度が軟化するという、どうでもいいエピソード。
・高校からの友人
弟が二人、妹が一人の四人兄弟の長女。さっぱり系。
谷口と親戚なのが運の尽き……かもしれない。弟が谷口と同級生で、意外に仲良くなった。ので、よく家に来ていたのだが、顔を合わせても挨拶くらいしかしていなかった。
それが好きになったと相談され、紹介はしなかったけど綾子の情報を流す(彼氏がいるかとか、好きなものは何かとかなど)ことはしてやった。
そして綾子のことは無二の親友だと思っている。
が、元カレのことを一番相談していたのが元同僚の女性だと知って、少なからずショックを受けた。ただ、これは誤解でたまたまその時に愚痴ることができたのが元同僚の女性だっただけである。
綾子を含め三人に少し後ろめたい気持ちを持っているけど、それでも弟のように谷口のことを思っているので、ついつい手を貸してしまうのだった。
……というよりも、彼女の情報から彼の周りが勝手に、綾子への仕事を増やすなど、別れへと促す行動をとっていた。
・大学からの友人
弟が四人の五人兄弟の長女。少しがさつなところがあり。姉御肌。
頼られると弱い。けど、綾子経由で知り合った友人たちは別格で、彼女達に不利になるようなことは絶対にしない。
綾子と元カレが別れた経緯を詳しくは知らなかったけど、元カレから別れを切り出したことは知っていたので、寝ぼけたことを言おうとしたのを笑顔で威嚇するぐらいには怒っている。
・元同僚の女性
弟が三人と年の離れた妹が一人いる。心配症のお姉さん気質。
本当は綾子と一緒に会社を移るはずだった。
花屋をやっている母と叔母。その叔母が具合を悪くしたために、母一人では手が回らなくなったので、仕事を辞めて花屋を手伝いだした。
元々専門学校に行ったのも、いずれは花屋を継ぐつもりでいたから。事務関係のことを知っていた方がいいだろうと思ったのだ。
専門学校を卒業する時に、まだ花屋をやらなくていいと言われたことと、父から遠縁の会社を助けてほしいと言われたので就職。もうこの時には、時機を見て会社を畳む……どこかに移譲するつもり(但しもう十年ぐらい後のつもりではいたけど)だったと聞いていたので、それを承知しての入社(但し一般社員には知らせてないのと、綾子たちが入社した年を求人の最後にするつもりだった)。
予想外に早く社長の病気が分かり治療しながらの経営は負担が大きいと、移譲先を探すことになった。
綾子とはすごく馬が合い、何でも話せる仲。
追加
・三好
大学新卒の綾子を慕う後輩。……と見せかけて谷口狙いの強かな子。もちろん会社内で内緒になっている、谷口が社長の息子だと知っている。
・元カレ
大学の同期だった。見栄っ張りで小心者。
綾子のことを本当に好きだった。けど、振られるのが怖くて大学の時に告白できなかった。卒業後、まったく接点がなくなったことに落ち込み、見かねた友人がお膳立てした。
が、この時に友人が余計なことを言った。はっぱをかけるつもりで『落とせるか、落とせないか』という賭けを持ち掛けた。元カレも見栄っ張りが発動して『半年以内に惚れ込ませてやる(意訳)』と言ってしまった。
それで実際に付き合いだして……なかなか……手を繋ぐのでさえできない状態を知った友人が、また余計なことを言った。それにゲスイ発言で返したけど、もちろんそんなことはできない健全な交際が続いた。
ただ、この会話を谷口に聞かれたため、そこから谷口を含む彼の周りが誤解をして、綾子との交際を邪魔されることとなった。
別れを切り出したのも、会えないことで意趣返し的に言ってしまっただけ。彼的には別れを切り出したら縋りついてくると思っていた。それが別れるのを嫌がられなかったし、縋りついても来なくて……別れると言うんじゃなかったと後悔の日々を送った。
綾子の友人から綾子に新しい恋人がいないと知って仲立ちを頼もうとしたけど、威圧感半端ない笑顔で「ん?」と言われて二の句が継げなくなった残念なやつ。