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純愛の教会
少女は呼び止められる。
「こんな時間にどこに行くんだい、お嬢さん。」
黒スーツに宣教師の格好を組み合わせたような、背の高い翼を持った男性が手を掴む。
「別に何処に行ったって良いだろ。」
情報屋はその手を振り払おうとしたが、力が強いのか離れない。
「ちょっと遊んで行こうよ。天使n」
その瞬間、情報屋はその男性の顔から眼鏡を丁寧に外し、その顔面に勢い良く拳をめり込ませた。
緩んだ手を思いっきり振り払って、情報屋は持っていた眼鏡を投げて一生懸命逃走した。
「あいたたた...全く酷いなぁ。いきなり殴ることないじゃないかぁ。」
男性は眼鏡を拾い、掛け直す。その顔には打撲跡は見えず、なんの痕跡もない。
「あの人の子とは思えない手の早さ、感服したよ。今回はどうなるんだろうね?」
悪魔は笑う。
その蒼髪の広がりに天使の翼を重ね合わせて嗤う。
これからの物語を知っているものの話はまた別の機会に。




