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彼の事実。
彼がいなくなって、数ヶ月。
あの癒しの時間をなくして、私はいつも通りの地獄へと戻った。
誰かに必要とされるわけでもなく、いつも通り笑って、バイトして、学校に行って、前の生活に戻った。
「そろそろ、会いたいな。」
なんて、一人で呟いてあの芝生に向かっていた。
彼がいる期待をしながら。
・・
姿を消した。彼女を突き放すために。
なぜかって?
自分は、彼女と釣り合わないから。
友達でいちゃいけない気がするから。
あかりには悪いけど、もう会えないよ。
いるはずない、そんなことを思いながら自分の足は、芝生に向かっていた。
「あ、」
「え、」
まさかの鉢合わせだった。
私は、彼を見て安心したのか、涙が溢れた。
「なんでっ、」
「なんでって、」
「なんでいなくなるの、」
「それは、」
私のそばから離れていくのには、私に非がある。それは私のせい。
でも、その非を言ってくれてもいいのに、
「あのな、あかり。」
「私に非があるなら、直すから、」
「あかり。」
「だからっ!」
「聞けって!」
顔を上げると、彼は私をじっと見つめていた。その瞳は、私をしっかりと捉えて、離さない。
私は思わず、彼に手を伸ばした。
「えっ、」
私の手は、彼を掴むことはなく、通り過ぎた。
「なんで、」
「あかり。」
「どういう、こと、」
「俺な、生きてないねん。」
彼は、私と同じ世界の住人じゃなかった。




