過去の追憶
魔王が出現するまで人々は人間同士で争ってきた
王国や騎士達の派閥である〝ストング〟
王や貴族達の身分制を打開するために戦う〝メサイラ〟
そしてどっちつかずのギルド 〝アタラール〟
正直なところ、俺はその時代を詳しく知らない
なぜ人間同士で争うのか
こんな簡単に思えることも、魔王が出現した後に生まれた俺にとっては関係のない話だ
姉貴は俺が3歳の頃、勇者として国から迎えられた
そういえば、あの頃からだっけ
姉貴が変わったのは……
当時の俺は、魔法の使い方を町医者である父から学んでいた
魔力だったり属性っていうのは親からの遺伝らしいが、基本的には努力次第で使えるようになるらしい
もともと俺は治癒属性がなかったんだけど、父の背中を追いかけるうちにいつしか使えるようになっていた
「上手になったな〜、マルス。もうすぐ中級も使えるんじゃないか?」
「うん!ありがとうお父さん」
「マルスが毎日手伝ってくれるからお父さん本当に助かるよ。疲れたら休んでいいからね」
「うんっ!……あれ、そういえばお姉ちゃんは?」
「エレナか。エレナは用事があってね。帰って来たら一緒に遊んだらどうだい?」
「わかった!お姉ちゃんにお願いしてみる!」
姉貴が帰って来たのは、町が崩壊してからだった