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(2)秀才高瀬

本編『奏』第5話「祖父とバイオリン」以後のお話です。

(※本編に直接関係はありません)

【登場人物】

・笠木 矢㮈(かさぎ やな)…彩楸学園高校1年生。

高瀬たかせ 也梛やなぎ…同じく1年生。

松浦まつら 大河たいが…同じく1年生。

衣川ころもがわ 瑞流みずはる…同じく1年生。

 今日からテスト一週間前のテスト期間に入る。

 矢㮈は六限終了と同時に、自分の机の上に突っ伏した。

 正直言って、今回のテストはヤバい。この前までバイオリンに熱中してたから、余計にヤバい。勉強そっちのけで、バイオリンばかりやっていたのだ。

 家でやるよりかは学校でやろうと、放課後の教室に残る。矢㮈の所へ荷物を持った千佳がやって来た。

「あれ? 千佳ちゃん帰るの?」

 あわよくば一緒にやってもらえないかと誘おうとしたのだが。

「ううん。部活。ほら、うちんとこ新人戦で活躍したから特別練習あるの」

 へえ、それはそれは……。

 千佳が「頑張ってねー」と手を振って教室を出て行く。

 矢㮈がため息と共に英語の教科書を出すと、両側から声がかかった。

「もしかして笠木さん勉強?」

「良ければ一緒に」

 松浦と衣川だ。ホットケーキパーティー以来、矢㮈とも仲良くなっている二人だ。

「え、良いけどあたし教えるとかムリだよ? 逆に教えてもらいたいくらい……」

「あー、それは大丈夫。あそこに秀才君がいるから」

 松浦が振り返って、今にも帰ろうとしていた高瀬を指さす。衣川がにっこり笑って高瀬を引きずって来た。

「一体何のつもりだ」

 無理やり連れてこられた高瀬が仏頂面で言う。松浦がニヤリと笑った。

「オレらの勉強会、手伝ってくれるだろ?」

「はあ? 何で俺がお前らなんかのまで……っ」

「お前らなんかのまで?」

「――いや、何でもない」

 高瀬は黙ったが、矢㮈はその訳を知っている。彼はルームメイトの勉強指導もしているのだ。

「はい、座って座ってー」

 松浦が、矢㮈の隣の席に高瀬を無理やり座らせて、前の席の机を二つ向かい合わせにした。小学校の時の給食風景だ。そして、

「じゃ、まずは英語から行こう。コレ分からない人―、ハーイ」

 早速、高瀬以外の三人が全員手を上げる。

「……ちょっと待てお前ら。コレまだ中学の時の範囲だろ!?」

 高瀬が問題を見て愕然とする。基本文法問題である。しかしそんなことを言われても、分からないものは分からない。

「こんなじゃ英語だけでもいつ終わるか分かんねえぞ!? つーかそもそもどうやってこの学園の入試をパスした!?」

「お願いしまーす、秀才高瀬君!」

 矢㮈たちは三人でハモった。


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