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崩れてゆく世界の中で  作者: 鷹江 梨華
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第四話 待機

魔王は城に在った。


玉座に座り、与えられた位置から動いていない。

姿勢に問題はなく、魔力の循環も安定している。


執事は定位置に立っている。

報告はない。


時間が経過する。


魔王は周囲を見渡す。

特別な意味はない。

確認する必要がある情報も存在しない。


それでも、視線は一度、城の奥へ向けられた。


何も起きていない。



---


さらに時間が経過する。


城内に異常はない。

魔物の配置は完了している。

補充も問題なく行われている。


執事が口を開く。


「進行に変化はございません」


魔王は理解した。

理解すべき内容は、それだけだった。


待機は継続される。



---


また時間が経過する。


魔王は動かない。

動く必要がないからだ。


玉座の感触は変わらない。

城の景色にも変化はない。


勇者の接近は、確認されていない。


それが何を意味するのか、

魔王は考えない。


考える必要がないと、理解している。



---


当日の進行を終了する。


魔王は待機状態のまま、休止に入る。

城は静止する。


世界は稼働中。


特記事項は

ない。



---

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