第二話「特記事項なし(続)」
勇者は、再び森に入った。
昨日と同じ道を通り、同じ場所で足を止める。
地形に変化はない。天候も安定している。
魔物は予定通り出現した。
勇者は剣を抜き、斬る。
一体目
二体目
三体目…
手応えは軽い。
以前よりも動きに無駄が少ない。ただ切る。
倒した魔物は素材を残した。
数と種類に差異はない。
勇者は一度だけ足を止め、周囲を見渡した。
特に意味はない。
警戒対象も存在しない。
進行を再開する。
倒し、進み、倒し、進む。
進行速度は微増。
一定時間が経過したため、勇者は森を出た。
想定範囲内の成果だった。
『もうそろそろいいかな…』
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城では、魔王が新たな情報を受け取っている。
内容は既知のものと重複している。
だが順序通りに与えられる。
人間は勇者に期待する。
魔物は討伐対象となる。
魔王はそれらを束ねる存在である。
魔王は唯一無二の存在である。
執事は淡々と説明を続けている。
途中、一つだけ説明されない項目があった。
魔王は質問をしなかった。
確認は行われない
魔王は理解している
理解するように作られている
外では魔物が再配置されていた。
数は維持されている。
過不足はない。
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その日の終わり、勇者は野営を行った。
魔王は再び休止状態に入る。
世界は問題なく稼働している。
特記事項はない。




