第十五話 「依頼」(重複)
勇者は、再び声をかけられた。
場所は違う。
時間も違う。
だが、
話の始まりはよく似ていた。
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「最近、魔物が出まして」
道が使えないこと。
困っている人がいること。
言葉の順序まで、
どこか覚えがある。
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勇者は話を聞いていた。
相手の顔は初対面だ。
名前も、所属も違う。
それでも、
内容だけが重なっている。
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指定された場所へ向かう。
道は分かりやすい。
迷う要素はない。
この場所へ向かう理由は、
既に知っているものだった。
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村外れの道。
魔物の痕跡。
新しくもなく、
古すぎもしない。
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出現した魔物は一体。
動きは鈍い。
剣を振る。
倒れる。
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終わった。
手応えはない。
昨日と、ほとんど同じだった。
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「助かりました」
頭を下げる角度まで、
前回と似ている気がした。
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報酬が渡される。
金額は妥当だ。
勇者は受け取った。
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数歩進んでから、
勇者は立ち止まった。
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『前にも来た気がする…?』
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考えようとして、
やめた。
理由を確認する必要はない。
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歩き出す。
依頼は完了している。
問題は、
発生していない。
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その日の終わり、
勇者は所持金を確認した。
増えている。
増えているはずだ。
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数字は、
一瞬だけ合わなかった。
次に見たときには、
正しい値になっていた。
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勇者は目を逸らした。
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当日の進行を終了する。
世界は稼働中。
特記事項は
ない。
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