第十四話 「現地」
勇者は指定された場所へ向かっていた。
地図に示された道は分かりやすい。
迷う要素はない。
それでも、
この場所へ向かう理由は、
既に知っているものだった。
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村は小さかった。
人の数も多くない。
建物も簡素だ。
特別に荒れている様子はない。
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出迎えたのは、
宿で声をかけてきた人物だった。
「こちらです」
それだけ言って、
先を歩く。
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案内されたのは村外れの道だった。
魔物の痕跡がある。
新しいものではない。
だが、
放置していいほど古くもない。
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「最近、増えまして」
相手はそう言った。
勇者は頷いた。
説明は、
想定していた範囲内だった。
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戦闘は短かった。
出現した魔物は一体。
動きは鈍い。
剣を振る。
倒れる。
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特別な手応えはない。
苦戦もしなかった。
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「助かりました」
相手は頭を下げる。
感謝の言葉は、
予定されていたやり取りのように聞こえた。
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報酬が渡される。
金額は妥当だった。
勇者はそれを受け取った。
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帰り道、
勇者は立ち止まった。
胸の奥に、
昨日と同じ空白がある。
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これでよかった。
そう思える材料は揃っている。
それでも、
何かを終えた実感は残らなかった。
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勇者は歩き出す。
依頼は完了している。
問題は発生していない。
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当日の進行を終了する。
世界は稼働中。
特記事項は
ない。
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