第十二話 「踏査」
勇者は森に入った。
道は既知。
地形に変化はない。
天候も安定している。
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魔物は出現する。
位置は想定範囲内。
数も想定通り。
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勇者は剣を抜き、斬る。
一体。
二体。
処理は滞りなく進んだ。
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倒した魔物は素材を残す。
種類も数も、
見慣れたものだった。
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しばらく進む。
魔物は出現しない。
想定範囲内。
出現間隔に誤差は存在する。
――本来であれば、
この地点で一体、現れるはずだった。
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少し先で、
魔物が二体、同時に出現した。
勇者は対応する。
処理は完了した。
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結果として、
討伐数は想定範囲内に収まった。
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勇者は森を抜けた。
村へ続く道に出る。
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空を見上げる。
まだ日が高い。
「……?」
首を傾げる。
今日は、
もう少し時間が経っているはずだった。
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村に戻る。
人の気配はいつも通りだ。
「今日は早かったな」
通りすがりの住人が、
何気なく声をかけてくる。
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勇者は頷いた。
否定する理由はない。
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宿に戻り、装備を整える。
回収した素材を並べる。
数は合っている。
不足も、過剰もない。
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勇者は一度だけ、手を止めた。
『……僕は、強くなったのかな?』
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答えは出ない。
確認する方法もない。
勇者は装備を整え直し、
それ以上考えるのをやめた。
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当日の進行を終了する。
世界は稼働中。
特記事項は
ない。
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