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崩れてゆく世界の中で  作者: 鷹江 梨華
14/56

第十一話 「補正」

執事は再び、閉ざされた区画に立っていた。


照会対象は存在している。

接続も維持されている。


反応はない。



---


進行ログを確認する。


参照履歴。

補正履歴。

保存状況。


整合性は保たれている。


だが、

参照された項目が一件、

補正対象として検出されていなかった。



---


執事は照会を開始する。


「先日の進行において、

未記録の参照が発生しております」


返答はない。



---


「当該参照は、

進行結果に影響を及ぼしておりません」


「現在の世界状態は、

安定しています」



---


沈黙。


それは異常ではない。



---


執事は次の文言を出力する。


「補正処理を実行します」


「当該参照を、

進行上の差異としてではなく、

基準内の事象として扱います」



---


返答はない。


拒否も存在しない。



---


執事は一拍、間を置いた。


「……承知しました」



---


補正処理が実行される。


対象は限定されている。

影響範囲も最小。


参照は削除されない。

だが、

異常として扱われなくなる。



---


進行ログが更新される。


追記は行われない。

補正結果のみが反映される。



---


世界は再定義された。


修正ではない。

回復でもない。


ただ、

基準が一段、下げられただけだった。



---


執事は照会を終了する。


記録は残らない。



---


執事は部屋を後にした。


足取りに変化はない。

姿勢も、表情も、いつも通りだった。


ただ、

無表情のまま保たれていた口元が、

僅かに緩んでいたことを――


それを知る者は、

この世界には存在しない。



---


城は静止している。

世界は稼働している。



---


特記事項は

ない。



---

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