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崩れてゆく世界の中で  作者: 鷹江 梨華
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プロローグ

------昔誰かに聞いた


僕たちが居る世界の他にも世界があるということを。


誰もが御伽噺だと言い、御伽噺は笑い話になった。

何故あの人はそう言ったかは今でもわからない。


でも僕にとってその話は御伽噺でも存在して欲しいと思った。

他の世界が幾つも存在するのならきっと僕の望む世界があるはずだ。

争いのない、それこそ僕が住む世界では考えられない平和な世界が・・・。


正直今でもわからないことがある。

あの人は自分を旅人だと名乗った。

御伽噺をしてくれたあの人は本当に旅人だったのだろうか?。

旅をすれば魔物にも襲われるし、日焼けも怪我もする。

けれど彼には一切それらしき傷も日焼けもなかったような気がする。

小さい頃の記憶だから曖昧なだけかもしれない。

あの服の下には傷だらけの身体があったのかもしれない。

今となっては確認することもできない。

あの人はまた何処かに旅に出たから。

きっと死んでなければまた何処かでばったりと会えるだろう。

またあの人に会ってあの御伽噺の続きがあるのなら聞きたい・・・。



---


「ーーーであるからして・・・」

大広間に響きわたる威厳に溢れた声。

その声を発しているのは目の前に居る王ではなく大臣。

王は大臣の話を聞き、頷いている。


僕は今、王と大臣の前で跪いている。


僕はこれから旅に出る。

旅人ではなく勇者として世界を救うために。

僕は産まれる前から勇者が決まっていた。

産まれてくる子が女の子でも勇者と決まっている。

決まっている という言い方は間違いだ。


【勇者になるという宿命の家系だから】


僕の意思に関係なく勇者になる。

これはこの世界が決めたことだからと周りに言われた。

そして世界を救ったら伴侶を決め、子を成す。

子供は必ず産まれると教わった。

そして次の勇者が生まれると。


僕の父も、おばあちゃんも、そのまたおじいちゃんも、みんなみんな【勇者】だった。


だから僕が勇者になるのは当たり前だ。

僕が世界を救わなきゃいけない。

力も弱いし、足も遅い。自分が賢いとも思わない。


けれど周りは笑って教えてくれる。

(時がくれば自然に強くなれる)と


旅に出るのは世界の現状を確認して、困ってる人を救う為。

そして時が来たら魔王を倒しに行く。


世界を救うのは僕の意思じゃない。

この世界・・・神様が決めたことなんだから。



「旅立つのだ!新たなる勇者よ!」


大臣の声と共に出撃のラッパが鳴る。


僕は立ち上がり、一礼を済ませるとそのまま外に向かった。


『最後まで勇者か・・・。』

ボソッと呟く


僕の名前は呼ばれない。勇者だから。

勇者なんて名前みたいなものなんだろう。

だから僕の名前は呼ばれない。


出撃のラッパの音を背に受けながら僕は城を後にした。

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