理不尽、よく効くおまじないをかける
「今回のお話はなかったことで。」
そう言ったクラウスは半分精気が抜けていた
「無理だ。
もう依頼を発注したからな。」
「多少ペナルティーを受けるかもしれないですけど、
違約金を払えば……。」
「無理だな。
というかその金はどっから持ってくるんだ?
仮にも五百ポイントだぞ?」
二の句を告げさせずに言う
「何故だ?」
「寛大なわたしが教えてやろう、メガネくん。」
イラッ
「ムカついてる暇はないぞ、
ほら呼吸を整えて、ヒッヒッフ〜 ヒッヒッフ〜。」
ピキリッ
「ほら青筋立てないでし〜んこ〜きゅう〜♪ダヨ?」
ピキビキィ
「あ〜もう可愛いんだから〜。
欲しい返答を返してくれるぅ、さいっこうのオモチャだわぁ!!!」
「すいません話を…。」
「なんだね騎士くんわたしの些細な娯楽を邪魔するのかね?」
「日が暮れます。」
と言うのも散々からかい過ぎてもう日が真上に来ているからだ
「もう昼か。
いいオモチャは時間を忘れて楽しめるからイケないなぁ。」
「さっさと話をしろ。」
「ノンノン、メガネ君。
そう急かすと女の子に嫌われちゃうぞ。」
「すまないクラウス。
対応を任せた.....。」
「いい判断だよ、メガネ君。
騎士くんは物腰が低過ぎてからかう気になれないからね。」
「恐縮です。」
「はぁ、騎士くん。
そう言うの良くないと思うよ。」
「一応リーダーですので。」
「仕方ないなぁ。
で、続きだけどね。
取り消しができない理由はまず、
緊急クエストだから、
もう本当に時間がないの。
明日には竜がね、王都に着いちゃうんだよ。」
「はぁ!?
なんで今まで気づかなかったんだよ !!!」
「全員死んだから。」
「死んだ?」
「仮にも竜だよ?
ただの兵士じゃあブチュだよブチュ。」
「ブチュって…。」
「あと、やんないで取り消したら冒険者ライセンスの剥奪がある。」
「はぁ!!!
なんでそんなの受けたんですか!!!」
「ポイントちょうどだったし。」
「コイツゥ!!!」
「あぁ懸念材料としては、竜の属性がイマイチ分かんない。
一応は風だと聞いているがそれも怪しいな。」
「そうですか。
でも風なら好都合です。
リーは火炎魔法の上級ですから。」
「はぁ?
何言って「魔物です !!!」」
現れたのは五メートルオーバーの巨大な熊
「獲物は!?」
「ホーングリズリーだっ。
角の本数によってランクが変わるが……、
一角、Cランクだ。
よしダイレン、ぶった切れ。」
「あいよ!!!」
指示を受けたダイレンが即座に駆け出す
「一人で大丈夫か?」
「大丈夫です。
我々はそれほど弱くはないですよ?
仮ににも中級上位でしたので。
誰かさんのせいで落ちましたけど。」
「オラァ!!!」
ザシュッ
「見事に真っ二つだな。
だが、血が吹き出るのはあまりよろしくない、
生物の内面などキモいだけだ。」
「これこそ一撃必殺、漢のロマンだぜ!」
「キモい、暑苦しい、ウザい、汚い、臭い。」
「すまん。」
「わかればよろしい、脳筋。」
「グフッ!」
「ザマァ、そのままネテロ。
そういえば忘れてた。」
「なんですかまだ何か?」
「そう警戒するな。
と言うかわたしをなんだと思っているんだ?、騎士くん。
心配するな、ちょっとしたおまじないだよ。」
「おまじない?」
「あぁそうだ、騎士くん。
なかなかに効くおまじないでな。」
「メンドイので早くして下さい。」
「なんか遠慮が無くなって来たな……。
まぁいいか。
説明するぞ?
まず、両手を合わして、
少しずらす。
次に、手を離して、
ずらした分を元に戻して出来上がり。」
「それを実演する意味は?」
「全員やんないと効果が出ないんだ、
さぁ早くやったやった。」
「何か分かりませんが、
分かりました。」「願掛けでも気休めにはなるか。」「なんか知らんが分かったぜ。」「分かったよぉ〜。」
「カナ以外酷いな、オマエら。」
「ご自分の記憶を確かめて下さい。」
「……。
うるさい軟弱騎士。」
「それが何か?」
「やっぱオマエ、
イジリがいのないヤツだな。」
「光栄の至りです。」
「……。」