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暇人な付与術師《エンチャンター》  作者: 嘘つき妖精
[幸福を夢見微睡む眠り姫]
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理不尽、念願の菓子職人に会う

結構期間が空きました、すいません。

アイデアが、出る時はたくさん出るのに出ないときは全く出ない……。

まだまだ死ぬ予定もないですし失踪する予定もないので、これからも末永くお付き合いくださいますよう、お願い申し上げます。

執務室をぶっ壊した張本人であるシオンが冷静になった所で、会議室に場所を移した

私的な話なので人の目がある場所で話すものでもないし外聞も気にしなければならない

そして椅子に腰掛けて話すとなると、ここが一番だろうと思ったから……と言うのは嘘で一番近かったからだ。

「シオン、お前修繕費出せよ?

お前が俺の執務室を木っ端微塵(こっぱみじん)にしたんだからな?」

「は?嫌だけど?

自分で出したらいいじゃん、国王でしょ?」

とっても嫌そ〜に顔を顰めてみせる彼女は一応、護衛である

護衛……である

「おい国王、なんか食いもん出せコラ。」

「俺国王だよ?

お前の頭の中で国王=パシリになってんじゃない!?」

今日も国王は二人のご機嫌とりに必死だ




「あぁそういや国王。

いつになったらブランシュ・ノワールに会わせてくれるんだ?

いい加減お前の尻をこんがり焼くぞ?」

王宮御用達の菓子職人への面会を報酬として仕事を請け負ったのだが、まだそれは果たされていない

そのことでかなりご立腹のようであった

「あぁそれか……お前らが虐めてくるせいで忘れてた。」

「おぅなんかすまん。

でもまぁ仕方ないだろ、国王なんだし。」

お菓子に関わることは素直なのだが……

「国王という言葉は免罪符かなんかか!?

国王だからいけないのか!?

国王と言う名の呪いですかぁ!?」

泣き崩れる国王に、

「ねぇ国王、もう面会の準備はとっくに終わってるんだし今からしようか。

暇でしょ?」

暇じゃねぇよぉぉぉ〜〜、と言う怨嗟の泣き声が聞こえた気がするが放っておこう

そんなことより面会だ



—————————————————————————————————————


目の前にあるのは客室、それもかなりいい部屋だ

「ここに、ここにあのブランシュ・ノワールが……。

世界最高峰と謳われた伝説の菓子職人がいるのか……。」

ドアノブに手を掛け、


ガチャリ


「よぉリズ、久しぶりだな。

あそこから出て以来だったか。」

赤毛の女がいた。

知り合いだった。

閉めた。

「ちょっおい待てコラァ!

閉めんな扉閉めんなお前の待ち望んだ人間だぞ!」

なんか叫んでる怖い。

ちなみに国王(笑)と剣聖はいない。

知らんうちにどっか行った、まぁどうでも良いけど。

そしてこの面白い人間は昔の知り合い。

名前はレイザ・ヴァーミリオン、言葉遣いは汚いが、昔からお菓子作りだけは超絶美味かった。

10代前半で本職の人間の心をポッキリ折ったほどだ。

いやぁ〜美味かったなぁ、そしてこいつが出て行ってからのお菓子が微妙に感じると言う苦痛の日々だった。

「おい無視すんな。

扉開けてこっち来いしばくぞ。」


ガチャリ


「バーカ。」


ガチャリ


「ぶっ殺す。」


ガチャリ


「バー


ザクザクッ


ーカ。」


ガチャリ


「避けながら罵声を飛ばすな殺すぞオラァ!!!」

「お前大事な包丁飛ばすなよ。

それでも職人か?」

「黙れクソガキ。

もう一度あそこにいた時みたいに教育してやろうか?」

「あれれ〜教育されたのはどっちだっけ?

私の記憶が正しければぴぃぴぃ泣いてたよなお前。

私のお菓子に辛子ぶち込んで食わせようとして、逆に食わしてやったやつ。」

扉が閉まっているので表情は分からない。

けど、顔真っ赤にしてるだろうなぁ、きひひ。

「はぁ……。

怒んないから部屋に入って来い。

まともに会話出来ないだろ?」

それもそうだと思う、からかうのも面白いが。


ガチャリ


ザザザクッ


「なんか食いもんあるか?」

「いや何事もないかのように回避すんなよ。

そして相変わらず図々しいなお前。

……クッキー焼いてあるからこれでも食え。」

目の前に出されたクッキーは、焼きたてらしく良い香りがする

「んじゃあ遠慮なく……お前が食え。」

指弾で飛ばされたクッキーが相手の口にストライクし……。

「ぐぶふ……。

&%#%”$&#$!!!」

顔が赤くなったり青くなってる面白い。

「昔から思うんだけど何を入れたらそんなヤバい物体になるんだ?

お菓子を粗末に扱うなよ勿体無い。

ということで全部、お前が食えよ?」

とても悪い(良い)笑顔で言うエミリーに対して、眼前の女性はこの世の終わりみたいな顔をしている

「明日はトイレから出れないなぁ、まぁ天罰だと思って食え食え。」

悶絶している顔をがっちり掴んでクッキーを食わせる

涙目で、いやいやと顔を振りながら拒否しているが、慈悲はない

「もぎゅぐふごぷぎゅぷ……。

……ごくん。」



—————————————————————————————————————


「はーい綺麗に食べれましたね〜。

よく出来ましたっ!」

「……あぁ、なんだか川が見える。

凄く綺麗な川だなぁ、向こう側へ行ってみたいけど無理そうかぁ〜……。」


綺麗になくなった皿と満足げなエミリー・リズハルト、そして虚ろな目をしている、“ブランシュ・ノワール”ことレイザ・ヴァーミリオンが対称的だった。

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