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暇人な付与術師《エンチャンター》  作者: 嘘つき妖精
[幸福を夢見微睡む眠り姫]
32/36

理不尽、何気無い日常は終わりを告げる

半年くらい忙しいから更新は不定期真っ只中です。

ターン ターン ターン

小気味良い、何かを蹴っているような音が聞こえる

それもその筈、何故ならその音の元凶はボクなのだから。

ボクは今、この綺麗な街並みを見下ろしている。

屋根の上、色付く花々や緑を眺めながら向かう先は彼女、リズの屋敷だ。

もうボクの日課と化しているが、全く飽きる気配がない“それ”にボクは心を踊らせる

段々と空が明るくなっていく今しか見られない……。

そう……寝顔だ。

普段眠たげにしている眼も、高圧的な言葉が飛び出るその口も、

だらしな~く緩んでいる彼女の寝顔の破壊力はどんな悪逆非道を働いた人間でも一瞬で骨抜きにされるだろう。

そして毎度毎度メイドさんに転がされている姿はとても……とても可愛らしゅうございます。

身体能力に物を言わせて跳び跳ねること数分、見えてきた彼女の屋敷を前にして全力全開本気の隠密をする。

そうでもしないと彼女が張り巡らした結界や家令に見つかってしまう。

それは勘弁して貰いたいし、至福の寝顔が見られないので隠密 隠密。

屋敷の手前の民家に飛び移った瞬間、一気に加速して跳躍をする

そうして彼女の部屋の窓へと張り付く訳だが、気分は某進撃してくる巨人を倒す人である

音もなく飛び移り、張り付いた窓から部屋を覗くともぬけの殻。

絶望に打ちひしがれる中で気配を探ると、案の定屋敷には居ないようだった。


仕方な~く王宮へと帰り、オモチャ兼雇い主である現国王ライナーの部屋に向かうと、

“彼女”の声が聞こえた。


「よし、半殺しにしよう。

チクチク ネチネチとイジメてやろうじゃあないか。

それがいい、それでいい。

ボクを差し置いてあの子とイチャイチャする奴は死ねばいい。」

うふふふふ、どう調理しようか迷っちゃうなぁ~なんて黒い笑みを浮かべながら扉を開くのだった。








―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


今日は早めに起こして貰った。

何故なら、わたし位の人間にもなると勝手に国外には出られないからな。

なんたってわたしはこの国の最高戦力、シオンなんて一瞬で蹴散らしてやる。

……なんかゴメンナサイ。

背筋が、背筋がゾクッとしたんです。

いくら強かろうとコワイものはコワイ。

……なんだこの茶番、自分で自爆とか笑えないわ~。


今現在わたしが居るのは国王の執務室、つまりあのヘタレ王の部屋という訳だが……。

遅い、遅いぞヘタレ。

いい加減にしないとこの部屋の備品を順番に壊してやるぞ~。


入室してから僅か数分の出来事だった。

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