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暇人な付与術師《エンチャンター》  作者: 嘘つき妖精
[理不尽を体現した女]
3/36

理不尽、残念極まる

「んぅぅ~。」

「おはようございます、エミリー・リズハルトさん。」

開目一番に飛び込んできたのはメガネをした女の顔だった

「あとまんねん。」

「駄目です。」

まだ寝ぼけている彼女に無慈悲に言い渡す

その冷たい物言いにようやく目が冴えてくるが、

『この人誰だっけ。』

いまだに寝ぼけているわたしの頭の中に生まれた最初の言葉だった。


って言うかここ、わたしの家なのに何で知らない人がいるんだ?

う~む…昨日のことが思い出せん。

どうしたものか…まぁいいや、寝よ。

「寝たら今後全ての報酬をギルドに寄付させて頂きます。」

「なぬぅ!!!」

今こいつなんて言った?

わたしの報酬を寄付!?

それでは娯楽など楽しめんではないかっ!

「どういうことだっ!

わたしは何もしていないぞ。

と言うか寝てただけだ。

更に言うとオマエ誰だ!

何でわたしの家にいる!!!」

そうだっ。

こいつ誰だっ。

こんなやつ知らないぞ。

……人の顔を覚えるのは苦手だが。

「私は一介のギルド職員で御座います。

更に言うとあなたの専属職員でもあります、忘れている様ですが…。」

冷たい眼差しで見つめてくる

「うにゅぅ……確かに見覚えがある顔だ…。

と言うかそれよりも何でいる?呼んだ覚えは無いぞ。」

見覚えがあったとしてもなんでいるのか皆目見当も付かんな。

「当たり前です。

あなたはここ五日ほど外にも出ずに寝ていたみたいですし。」

やはりコイツ刺々しいな。

わたしに何か恨みでもあるのか?

「ふ~ん、まぁいいや。

で、何か用か?」

「とりあえずそのボサボサな髪とか服とかに注意を向けては?」

初めて冷たい表情が崩れるが、

その顔には嫌なものを見る様だ

「ん?

そうだな、そうしよう。」

今のわたしの様子はとてもヒドイ。

髪はボサボサ(特に気にしないけど)服は寝間着(紺と黒のワンピース)

これだけならまだいい。

けどそれが五日前の格好だとなると、流石のわたしでもアレだと思う。


「客間に行っててくれ、直ぐに整える。」

「分かりました、風呂場で寝ないで下さいよ。」

コイツすごい毒を吐くな。

切れ味がすごい。

「当たり前だ、流石のわたしでもそんなことはしない。」

「以前寝ていて死にかけました。」

「えぇいもう行け!!!

もうしないわ!!!」

こいつほんとムカつく。

こういうのよくないと思うぞ?

わたしは。

「了解です。」





ジャァ~~~

「ふんふっふふん~〜。」

わたしは風呂が好きだ

と言うか娯楽全般好きだ

食事・睡眠・運動・遊戯・賭け事その他諸々

何でも好きだ

愛している



 おもむろに鏡を見てみる

すると目の前のは絶世の美女が映し出される

相変わらずわたしは美しいな。

なんせわたしだからなっ。


けれど、何故だろう。

周囲にいる人にことごとく『残念な人』と言われる。

ほんとなんでだろうな。



 わしゃわしゃぁ〜

 髪が長いと洗いにくいなぁ…。


ここで一つおさらいだ。

宿題の内容はズバリ不名誉な呼ばれ方をする理由。

まずはもう一度鏡を見て現状確認だな。


第一の理由、それはっ……。


ジャカジャカジャカジャンっ!!

脳内ドラムロールが鳴る


美少女ながらお胸が無いっ!

これは由々しき事態だ。

もう壁と言ってもいい。

何ということだ。

神はわたしのような美少女を作ったのにもかかわらず、

完璧に仕上げないとは…。

これは神の怠慢だ。

断じてゆるs……ect.


こほん

イカンイカン、

いくらわたしが美少女だと言っても話が長いのはダメだな。

うん、じゃあ次行こう。


 ジャァ〜〜

 うん、今日も髪はボサボサだな…。


その二、若干だが童顔気味だ。

わたしはクール系美女が似合う筈。

なのに何故だっ!

オッサン連中に妙に受けがいいのも気になる。

アイツらわたしの頭を撫でようとしてくるんだぞっ!

絶対魔法をぶちこんでやるっ!!


ハァハァ……。

……今回の話題に戻ろう。


 トプンッ

 お風呂気持ちぃ〜…。


そして究極的に残念なのが、何かオーラが残念…らしい。

自分ではよくわからんが残念らしい。

そのせいで初対面のヤツでも少し、残念な人扱いを受ける。

アレはもう、本当にムカついた。

思い出したらまたムカついてきた。

今なら町を消し飛ばせるな、うん。


余り客人を待たせるのは不味いしさっさと支度でもしよう……。


_____________________________________


「待たせたな。

それで、何の用だ。」

「あなたが五日前に受けた依頼についてです。」

「あっ…。」


ギルド調書


エミリー・リズハルト/年齢不詳

見た目は二十歳より少し若いくらい。

ギルドで最初に発行される身分証、ギルドカードには名前、種族、性別、年齢など、

色々な情報が刻まれるのだが、何故かエミリーの物は年齢だけバグる。

いくら変えても#%+*¥$&みたいにバグってしまう。

なので、彼女の年齢はタブーとされている。

いつの日か、新人のアホが彼女に絡んで年齢のことに触れ、消えた

どうなったのかは、いまだに分からない

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