神様と少女
左耳が痛い ピアスが疼く
少しづつ 強く 強く
魔女も愛想をつかした 氷の森
闇より邪悪な 血の樹木
そんな中を 歩いていく
邪悪 邪悪 邪悪
ここを除いて どこも
誰が作ったか 小さな結界
そこで眠る少女
動物達に包まれて
死への鼓動は 後一つ
いかないで ここにいて
全ての動物は 少女を必要としていた
命と共に 小さくなる結界
不思議な命 かよわい命 消え行く命
もったいない
彼は不意に 人間のような言葉を つぶやく
左のピアスが強く疼く この娘のために有るように
そっと外して 指で広げ
彼女の頭上に またそっと
死への鼓動は 零になり
飛べない天使の出来上がり
ついてくるかい? 動物達も
ぼくはいく ぼくもいく
大きな熊に 小さな兎
ぼくもいいの? ぼくはどう?
怖がり狸に 嘘つき狐
ぼくもいきたい だけど
弱り弱った 白い鳥
そうつぶやいて 死んでいった
それでも魂は いつまでも
彼女の背中を離れない
ぼくもいきたい ぼくもいきたい
ぼくもいきたい ぼくもいきたい
声にならない声
それなら共に と
彼は 銀のボタンを取り外し
二人をつなぎとめる
見えない翼は 今も
少女の背中に 息づいている
心と共に