93 ステータス
「私達は戻ってきたっ!」
14日……二週間ぶりのダンジョンマスターの間である。
まあ、事前に地図をもらい、セーフティーゾーンの位置も把握していたのでずいぶんと楽だった。
ただ、魔王の連れてきた奴らはダンジョン産の魔物と違いセーフティーゾーンの中にまで入ってくるので、見張りには気を使った。
一応、ソレイユちゃんの悲劇を繰り返さないために〈気配察知〉などにいつも以上に神経を使ったつもりだ。
罠等は無い筈だが万が一の場合も考え、アイテムも負担にならない程度分散させて持たせている。
あと、途中で見つけたフェンリル親子については契約魔法により、私たちに危害を加えた場合のペナルティーを決め縛っておいた。
さすがに言葉が通じ、『王よ』とか恭順の姿勢を見せていても、昨日今日会った魔物を信用できるほど私の心は広くない。
契約魔法については結構高度なもので、いくらレベルの高いフェンリルと言えど無視できない(ちなみに私はやろうと思えば無視できる)。人間の間では、その高度さゆえ国家間条約などの非常に重要な場合などにしか使用されないらしい。
最初はティーアにされていた『従魔の首輪』を使おうとも思ったが、そもそも作成のための材料が無かった(作り方はスキル〈魔道具技師〉により知識にあった)。
『…………おぬしら、頼んだのは65層までの魔王の配下の排除じゃったはずじゃが』
「ケチケチするな。こっちも証拠が多いほうがいいんだよ」
そう、私たちは69~65層までのダンジョン産以外の魔物の排除を頼まれていたが、実際には60層まで上がって行って魔物を倒していた。
理由についてはさっき言った、証拠となる深階層の魔物の魔石を入手することだ。いくら、70層までクリアしましたと言ってもさすがに、魔物の一体も倒していないとなれば疑問に思われる。ギルドマスターに対しては70層到達の過程について特に隠す事なく報告するつもりではいるが、まあ何かあった場合の保険にと思った次第だ。
ダンジョン産の魔物については魔王の配下よりもレベルが低かったが、さすがに60層台ということで、レベル100台半ばから後半の奴らが大量に押し寄せてくるので結構うっとおしかった。
あと、深階層の魔物の魔石は高く売れるというのもある。
低階層で出る小指の爪程の大きさの魔石とは違い、60層台の魔物が落とす魔石は一抱えもあるものだ。対象のレベルによっては赤ん坊ほどの大きさのものもある。
魔石は魔力タンクや魔法の媒体として使用するのが有名だが、その宝石のような見た目から大きなものになると装飾品としても価値がつくようになる。
以前、30層台にて採取したとされる拳大の大きさの魔石が店頭に並んでいるのを見たことがあるが結構なお値段がした。少なくとも一般人にしてみればかなり無理をしないと買えないような代物だ。
そんな高価なものが、それも大きさも比較にならないようなものがゴロゴロと……
うぇへへ、笑いが止まりませんなぁ!
「どうせまた生み出せるんだろう?」
『簡単に言ってくれる。無制限に生み出せるわけではないんじゃぞ。……ところでそっちの狼は連れて行くのか?』
「……ああ、一応話が通じたのでな。無暗な殺生はしない主義なんだよ。…………何か言いたいことがあるようだな?」
『別に無いぞう? ……まあいい。約束通り魔王の連れてきた奴らは退治してくれたみたいじゃし、地上に送ってやるわい。』
そうして私達(+2匹)は地上へと送り返された。
◇◇◇
なお、レべリングの結果は下記のとおりとなる。
私の場合はさすがにレベルが上がったりはしなかった。(55話のステータスのまま)
名前:ソレイユ
種族:竜人族
年齢:0歳
性別:女性
職業:Dランク冒険者
レベル:220
スキル:槍技Lv5
肉体強化Lv3
腕力強化Lv3
脚力強化Lv3
攻撃力上昇Lv3
防御力上昇Lv3
体力上昇Lv3
状態異常耐性Lv3
微調整Lv3
竜化Lv-
名前:ティーア
種族:リリス
年齢:327歳
性別:女性
職業:Dランク冒険者
レベル:305
スキル:魅了Lv8
鞭技Lv5
闇魔法Lv8
火魔法Lv3
水魔法Lv6
風魔法Lv3
土魔法Lv3
状態異常耐性Lv3
微調整Lv3
名前:アリシア・ショコラ・メープルローズ
種族:人間
年齢:16歳
性別:女性
職業:メープルローズ伯爵の長女/高等部学生/Fランク冒険者
レベル:355
スキル:剣技Lv3
状態異常耐性Lv1
微調整Lv3
称号:高貴なる貴族
名前:カーマイン
種族:人間
年齢:22歳
性別:女性
職業:侍女/Fランク冒険者
レベル:290
スキル:棒技Lv3
火魔法Lv1
状態異常耐性Lv1
微調整Lv3
ちなみに、ソレイユちゃんのスキルが増えているのは竜人族になったためで、それに合わせて年齢が0歳になっている。
ティーアとカーマインさんの魔法スキルはパワーレべリング中に少し私が教えたためだが、どうも私と一緒にいるとスキルが入手しやすくなるらしい。本来、使えるようになったからといってスキルが手に入ることは無い。
あと、ティーアの方は『鞭使い』から『魔法使い』へとジョブチェンジしようとしている節がある。
アリシアさんの称号〈高貴なる貴族〉は貴族のマナーに上昇補正がかかるものらしいがなぜ手に入ったのか不明だ
皆には〈鑑定眼〉にて判明したこれらの情報を報告する。
「まぁ、これで私たちも金のカードがもらえますわね。それにあのクソ王子にも、フフフ……」
「よかったですね、お嬢様」
「ええ、私の栄光の道はこれから始まるのですわ!」
わー、ぱちぱち!
ドヤ顔のアリシアさんとヨイショするカーマインさん。
「ギリギリ300越えたわねぇ。それに、魔法のスキルが増えたのはうれしいわねぇ」
「私は220ですか……過去の勇者様みたいですね。」
「ソレイユちゃんは一度レベルが1になったからだな。アリシアさんが高いのはおそらく魔王を倒した時の経験値が入ったためだろう。」
ソレイユちゃんもティーアもレベルを伝えた後はニコニコとしている。
「さあ、『高貴なる乙女達』の凱旋ですわよ!」
「「「おー!」」」
ステータス管理がややこしく……
ステータスはたぶんミスはないと思いますが、もし矛盾等あれば気軽に指摘コメントください。




