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90 号泣

最初、第三者視点の部分があります。視点変更部分は◇◇◇で区切っているところです。

 それは凄い光景だった。目の前で人間が形作られているのだ。今までこんな事を成した人物がいただろうか。

 人造人間(ホムンクルス)という物がいるそうだが、あれは大規模な施設と装置そして資金が必要でさらに一定の水準に達するまでにはかなりの年月が必要なものだ。

 それに対して、目の前で起こっているこれは、まさに神が人を作るがごときではないだろうか。


 やがてそれはソレイユの形をとった後、魂と融合し一つの生命となった。


 と同時に、ノワールが倒れた。


「ご主人様!?」

「大丈夫ですの!?」


 あわてて駆け寄ってくるティーア達。そうして抱き上げて状態を確認する。


「……大丈夫、魔力の欠乏のようね。休んでいれば回復するわ」

「そうですか」

「それよりもぉ――」


 そう言ってティーアはソレイユの方を見た。裸で地面に横たわっている。先ほどノワールが気絶する前に魂が体に入っていくのを確認した。あとは祈るだけだ。

 視線の意味に気付いて、カーマインさんがソレイユを抱き起し汚れないように気を付けながら木にもたれかからせる。


 数十秒が経過しただろうか。ソレイユの瞼がゆっくりと開かれる。


「…………うぅん」


「――――っ!!」


 瞼を開いて目をぱちぱちとさせるソレイユに安堵の、そして非常に嬉しそうな表情を浮かべるティーア達。


「ソレイユちゃん、大丈夫ぅ? どこか変なところは無い?」

「え、あ、はい」


 ティーアの問いに答え体を確認するソレイユ。そうして確認していくが特に変なところは無いという結論になった。


「あ、あの、ノワール様は」

「魔力欠乏で気絶しちゃったの。静かにしておいてあげましょう」

「そうですね」

「でも、本当によかったわ。一時は蘇生できないと思っていたから」

「すごかったわね。魔法ってあんなことができるんですのね。」

「そうですね。ノワール様はいったい何者なのですか? あんな状態から蘇生させるなんて?」

「ご心配をおかけしました。そしてありがとうございます。」


 そうして、ノワールが気が付くまで皆静かに過ごした。


◇◇◇


「――――はっ!」


 やばい、気絶していたようだ。どのくらいたった? ソレイユちゃんは?


「あ、気が付いたみたいねぇ」

「ノワール様」


 目を開けるとそこには心配そうな表情のソレイユちゃんとティーアが……


 がばっ! とソレイユちゃんに抱き着く。


「え、あ、あの、ノワール様!?」

「ソレイユちゃん! よがっだー。よがっだよー!」


 泣きながらワッサワッサとソレイユちゃんの体に手を這わす。夢じゃない。ちゃんと生きている。体がある。


「あ、ノワール様……まだ、心の準備が」

「あらぁ、ご主人様の泣いているところなんて貴重ねぇ」


 周りが何か言っているが気にする余裕がない。生きている。本当によかった。

 サワサワ……



「どのくらい気絶していたんだ。……そもそも私はなぜ気絶したんだ?」

「1時間ぐらいねぇ。気絶の原因は魔力の枯渇よ。」


 ようやく落ち着いたので、とりあえず頭の中を整理して聞かなきゃいけないことを聞いてみる。

 そうか、魔力が枯渇すると気絶するのか。まだ体がだるい感じがするな。完全には回復していないのだろう。ある程度まで回復するのが1時間ということだろうか?


「で、ソレイユちゃん、何か不具合とかはあるか?」

「大丈夫です。特に今の所問題はありません。」


 うーむ本人がそう言うのだから問題ないのだろうか。一応私も〈鑑定眼〉を使用してみる。特に状態異常などはない。今回は一から肉体を造ったので、先天的な欠陥などがあった場合表示されるのか不明なため、まだ安心はできないが。

 見た目は問題ないな? 身長などちゃんと測ったわけではないがおそらく同じだと思う。肉付きや肌の質感なども記憶と同じだ。胸の大きさも……同じだな。うん。顔は……ん? 少し違和感がある。

 マズイ、何か失敗したか!? そう思いよく観察する。むむむ。顔のパーツなどは同じだと思う髪や眼の色も同じ金髪碧眼だ……待て、瞳がおかしい。爬虫類みたいに瞳孔が縦に長くなっているように見える。……しまったあれ(・・)を使ったからか。ほかには……特に変わったところは――

 念入りに体や顔を見回したが瞳の違い以外に変化はないことが分かった。(記憶違いが無ければだが)


 そうしてチェックした後、ソレイユちゃんに変化しているところを告げる。


「種族が竜人族(ドラグーン)となっているが、大丈夫だったか?」

竜人族(ドラグーン)ですか?」


 そう、欠損していた情報を補完するためドラゴンの情報で補った。以前倒してアイテムボックス内に入れたままになっていたグランドドラゴンを使用したのだ。一応、ソレイユちゃん自身が『強くありたい』と言っていたので、生まれた時からの強者であるドラゴンを使ったのだがよかっただろうか。

 ……事後確認となってしまったが、なぜ先に聞いておかなかったのかと今更ながらに思う。


 そのあたりを説明したら、


「大丈夫です。自分で望んだことです……何か変わったという実感はありませんが……でも、本来なら死んでいたのですし、贅沢を言うと罰が当たります。」

「そうか……」

「ノワール様。改めて有難うございました。」


 そう言ってほほ笑んでくれる。ええ子やでホンマ。あ、また涙が……


竜人族(ドラグーン)……カッコいいですわね。ノワール、私にもできませんの?」

「お嬢様、ちょっと黙っていましょうね。」

「親からもらった大事な体だろう。止めておきなさい。」


 アリシアさんがちょっと横から口出ししてくるが、さすがにあんなことをホイホイとやりたくはない。遺伝子情報弄るとか今考えれば相当ヤバイしな。本当に成功してよかったよ。


「あの、ところでノワール様、着る物が欲しいのですが……」


 ……そう言えばソレイユちゃん、すっぽんぽんだった。

 あわてて、アイテムボックスから着替えを出してやる。


「ノワール様に買ってもらった武器などもなくなってしまいました。」


 悲しい顔でそんなことを言ってくる。ええんやで、そんなもん。ソレイユちゃんが健康なのが一番や。よしよし。


「あ、あの、ノワール様……」


 おっと、無意識に抱きしめて頭をなでていた。しかし、ソレイユちゃんはかわええのう。これが父……母性という物か!?



 ソレイユちゃんの着替えが終わって、武器防具もスペアの品を装備できた。


「さて、どうする? このまま進むか?」

「ご主人様はどうなの? 魔力枯渇で気を失っていたけれど大丈夫ぅ?」

「ああ、私は大丈夫だ。大規模魔法が撃てるかどうかといったところにまで回復している……と思う。回復魔法は問題ないだろう。……というかここは何階層だ?」

「30階層ですね。」

「セーフティーゾーンまでは行った方がいいんじゃないかしら?」

「そうですね。周辺に魔物はいないとのことでしたが、ちゃんと休息は取った方がいいでしょう。」

「じゃあとりあえずセーフティーゾーンまで行くか」


 そう言って進もうとした時だった――


『あのー、ワシの事を忘れんで欲しいのじゃが……』

前回のひどい設定ミスwww

ミス等あればお気軽にコメントください。というか指摘されないと間違ったまま進んじゃう……

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