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69 ダンジョン 4

 ギルドマスターの差し出してきた金色の特別なカードを見ると



名前:ノワール

レベル:200+

ランク:D



 おう、金ぴかだよ。いかにも特別って感じがするな。いいね。ちょっとうれしくて尻尾がパタパタ揺れている。

 あとレベル欄が200+ になっているが……+ってなんだ。


「一応このカードと魔道具は普通の奴と違って、レベル199まで測れるんだが……王都のギルドマスターからレベル100以上と聞いていたがまさか200以上あるなんてね。いったいどうやったらこんなレベルになるんだい?」


 どうやら+というのは「以上」という意味らしい。

 あと、その声が聞こえていた受付嬢さんも目を見開いている。


「いや、まあ企業秘密だ。……あ、このことはあまり広めないでほしいんだが」


 というか特別なことなんてやっていない。たぶん神様? がくれたチートだからな。教えてほしいとか言われても困る。私だって教えてほしい。


 つれーわー、大事にしたくないのにつれーわー(・∀・) ニヤニヤ


「そ、そうかい。まあその様子じゃ正確なレベルを教える気なんてないんだろうね。鑑定のスキル持ちがいればよかったんだが。あと、レベルの件について広めたくないってのは王都側のギルドマスターから聞いているから安心しな。」


 ギルドマスターがそんなことを言っている。どうやらさすがは迷宮都市のギルドということで鑑定のスキル持ちがいたようだが、1か月前から病気療養のための長期休暇に入っているらしい。


 それに、広めたくないといっても積極的に広めたくないというだけで、別に自然に知られたりする分については問題ないと思っている。まあ、それで厄介ごとが舞い込んでくるのは嫌だが。人の口に戸は立てられぬとも言うしね。


「あと、そっちのソレイユとティーアだったか。お嬢ちゃんたちはギルドの依頼をこなしたことはあるかね?」


 質問の意図がよく分からないのだが、まあ、登録する前は奴隷だったので、その際に一緒に依頼をこなしていたと伝えると、


「じゃあそっちの二人もDランクへ昇格だ。」


 ソレイユちゃんと、ティーアがDランクへ一気に昇格した。一応Dランクまでは各ギルドマスターの権限で昇格させてもいいらしい。Cランク以上は今の私のようにちゃんとした複数名による審査がいるのだが。


 というわけで、2人もギルドカードを更新して以下となった。



名前:ソレイユ

レベル:48

ランク:D



名前:ティーア

レベル:94

ランク:D



 ◇◇◇



「何だったんですか、ノワールさん?」


 先ほど話していたテーブルに戻った際に、メリノ君が一番に聞いてきた。


「ああ、この件でね」


 そう言いつつ、スッ! といかにもな感じで自分のギルドカードを差し出す。

 フッ! すげぇだろ。


「へぇ、これがギルドカードですか。金色なんですね。」


 あ、あれ? 違うよ。これは特別な奴だよ。ほら普通のカードは銀色だよ。レベル見てよ。すごいだろ?

 なにか思っていたのと違う反応が返ってきたのでちょっとテンパりました。しかし決して表には出さない。大したことないぜ的な雰囲気を貫くのだ。


「あら、これは何ですの? ギルドカードは銀色だったのではなくて?」


 そう! そこだよ! アリシアさんいいよ。もっと突っ込んで!


「いや、通常のギルドカードで測れるのはレベル99まででね――」


 レベル100以上の場合はこの金色のカードがもらえることをメリノ君とアリシアさんに伝える。そう、プレミアムなカードなんだよ、これ。

 説明している間いかにも普通の事だと言わんばかりにポーカーフェイスを保っていた。心の中はニヤニヤだったが。

 メリノ君はあまりわかっていないようだったが、後ろに控えている護衛の人たちが非常に驚いた顔をしていた。アリシアさんは微妙だった。すごいということは分かっているがどの程度凄いのかはわかっていない感じだ。


「すごいですね、ノワールさん!」

「ああ、あと、ソレイユちゃんとティーアもDランクへ昇格できたんだよ」

「へぇ、おめでとうございます。」


 メリノ君が賛辞を送ってくれる。


「金のカード……いいですわね。私も目指そうかしら。」

「お嬢様はその前に30階層にいかなければなりませんけれどね」


 アリシアさんとカーマインさんがそう言っているのを聞き、そうだった、さっきの話の続きをせねばと思いだす。


「そうそう、アリシアさん……様」

「さん付けで構いませんわよ」

「そうか、ではアリシアさん。その件で少し話があるんだが」


 そう言って、最初――メリノ君たちと会う前に掲示板に張ろうとしていたパトロン募集の紙を見せる。いまお金に困っているから、パトロンを募集していることを正直に話しておく。一応相手は女性だし問題ないと思う。

 男だとお金の代わりに「げへへ、ちょっと一晩付き合えよ。」的なことを言われるかもしれないからな。お金のためとはいえ風俗関係に手を出すつもりはない。


 私達は3人でパーティーを組んでいるため、Dランク冒険者のパーティーとなるわけだが、一応とはいえ私はレベル10万以上で、200越えであることも証明できている。ソレイユちゃんとティーアもDランクとは思えない高レベルっぷりだと自負している。


 そこでアリシアさんたちにパトロンになってもらえないだろうかと誘いをかける。無論、自力で30階層まで行きたいのであれば、その手伝いをするということも伝える。

 お宝については、アリシアさんたちに優先的に。魔物の魔石やドロップ品については均等割りという条件でどうか? と。

 お宝については魅力的だが、お金を出してもらう以上贅沢は言っていられない。それに、30階層ともなれば魔石だけでも十分な稼ぎになるのではと踏んでの条件だ。


「僕がパトロンになります!」


 だがこの話を聞いた時に真っ先に反応したのはメリノ君だった。……何故だ。


 …………はっ! そうか。メリノ君も男の子だもんな。ダンジョン産の武器に興味があるんだろう。こう、魔剣的なものとかな。

 メリノ君家は公爵家なんて言うお金持ち貴族だがメリノ君自体はお金を動かせる立場にいるのか?


「あの、メリノ様がお金を出資するということですか? その、メリノ様はお金を持っているのですか?」

「た、たしかに僕が動かせるお金は少ないけど……でも、集めれば100万フラムぐらいなら何とか…………で、でも将来的にはノワールさんを養える程度には、か、稼ぐつもりですし……」


 何か後ろに行くほどゴニョゴニョと小声になってくるがそんなことは問題じゃない

 おい、なんだこのブルジョアは!? 100万フラムで少ないだと。しかも11歳の子供が動かせるお金だと。

 なんという経済格差!


「じゅ、十分ですよ。……では詳細を煮詰めていきましょうか」


 この勢いだとなんだか家に借金するとか言い出しそうな勢いだったメリノ君を押さえて、今後の予定を煮詰める。


 まずパトロンとしてメリノ君とアリシアさんより出資を受ける。

 装備品や夜営他の準備品に関してその出資にて購入。

 そして30階層以下へとアリシアさんを連れていく。メリノ君も行きたそう目を輝かせていたが、学院が始まるので渋々あきらめた。アリシアさんは一応今も高等学部の学生ではあるが家を追い出されたので長期休学扱いになっている。周りはそのまま退学になると思っているらしいが。

 宝箱から出た宝は、メリノ君とアリシアさんで出資額に応じて分配するのがいいかと思ったのだが、アリシアさんを優先してもかまわないとメリノ君が言ってきた。

 なんだ? 宝がほしいんじゃないのか。それともカッコいい武器とか何か狙っているものがあるのだろうか。

 魔石とドロップ品については私たちとアリシアさん達、潜っている者で等分ということになった。


 ◇◇◇


 パトロンが決まったので受付に報告に行く。


「こちらをお願いする」

「あ、ノワールさん。パトロンが見つかったんですか? えーと……フーカ公爵家の次男にメープルローズ伯爵家令嬢!! すごいじゃないですか! さすがはゴールドカード保持者ですね!」

「あ、ああ」


 あの金色のカード、ゴールドカードとか言われているのか。キャッシュカードみたいだな。そのうちブラックカードとか出てきそう。


 声が聞こえていたのだろうか、周りの奴らもうらやましそうだ。いかにもなチンピラみたいな奴がガンを飛ばしてきたりするもするが、表立って何か言ってくることはない。まあ貴族様のいる前で、ただの冒険者が喧嘩を売ったりすることの危険性位は承知しているようだ。



「では僕はこれで」


 そう言ってメリノ君が別れて行った。ギルドにはパトロンとして報告したし、あとは家に居る母親にもパトロンになったことを報告に行くらしい。

 あと、一緒にいた護衛の3人はメリノ君の護衛だったようで、共に去って行った。


 その後、アリシアさんたちも去っていき本日はお開きになった。



 あれ? そう言えばメリノ君、冒険者登録するとか言ってなかったっけ?

主人公は目立ちたくない系ではありません。目立ちたくないなー|ー゜)チラッチラッ系です。

自分より強いやつが出てきた時のため、「自慢とかしてないしー 他人が言ってるだけだしー」という逃げ道を残しているのです。

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