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閑話 勇者ヤマモト 5

ヤマモト君がそろそろ忘れ去られそうだったので入れました。

「ヤマモト! 行くぜ!」


 ガウリールがそう吾輩に声をかけながら駆けていく。髭を生やした筋肉ムキムキのおっさんだ。元は国の近衛兵だったらしい。レベルが高く腕が立つとの理由で吾輩の仲間として冒険に参加している。



「オラァァ!!」


 ゲイルの振るった剣が魔物たちを斬り伏せる。同じく筋肉ムキムキのおっさんでガウリールと同じ近衛兵出身だ。これまたレベルが高く腕が立つ。ガウリールとは幼馴染らしく2人セットでいるのが当たり前のようだ



 吾輩たちは今、魔王の腹心と呼ばれる魔族がいるとされる村にて多くの魔物たちと対峙していた。


「ふはははは! 勇者よ、よくぞここがわかったな! だが分かっただけではどうにもならんぞ! この魔王様の腹心とされる魔王軍16将軍の一人である私が直々に相手をしてやろう!」


 魔物たちの一番後ろにいる魔族の男が大仰に両手を広げながら宣言する。


 て言うか、何でござるか。16将軍て! 多すぎでござろう。ここはせめて四天王程度にしておくべきでござろうに。



「お下がりください勇者様」


 そう言って前から襲いくる魔物を受け止めてくれるのは途中から旅の仲間となった奴隷の女性――リタだ。奴隷というだけあってこちらの言う事は大体聞いてくれるし、それに結構献身的で気配りもできる。それに戦闘も問題なくこなせる。非常に優秀な戦士だ。

 だが外見は直立歩行するゴリラだ。どう考えても友情以上のものは芽生えそうにない。



「神よ、わが前にはびこる敵をその炎にて退けたまえ【ファイアーボール】!」


 オルフが放つ魔法が側面から襲いかかろうとしていた魔物たちを消し炭にする。

 初老の男性でいかにもな魔法使いといったローブをまとっている。王宮で筆頭魔法使いだったそうで今もその魔法の才能をいかんなく発揮してくれる。



「ヤマモト様! 今、支援魔法をかけます!」


 そう言って吾輩に基礎ステータスアップの支援魔法をかけてくれるヒャロン。

国ではなく教会という宗教組織に所属していた回復魔法使いだ。20代半ばと思われるメガネをかけたイケメンである。



 魔物側はあの16将軍の一人という男により統率は取れているが一体一体はそれほど強いわけでもない。勇者とその仲間たちなら問題なく排除できるだろう。


「い、行くでござるよ!」


 そう言って、一気に走って16将軍の一人とやら――魔族の男に突っ込んで行く。


「おらぁ! ヤマモトの邪魔はさせねぇぜ!」

「ちっ! 数が多いですね」


 ガウリールとゲイルが見事な連携で吾輩と魔族の男との間にいる魔物を屠っていく。


「はぁぁ!」

「【ファイアーボール】!」


 側面からの攻撃に対しては、リタとオルフが対応してくれる。


「くっ! いまだ成長途中だと甘く見たか! だが、私に単騎で挑むとは愚かな!」


 そう言って魔族の男が腰に差した剣を抜く。


「私は16将軍の中でも剣技に秀で――「でぇやぁぁ!!」――ぷべらぁっ!!」


 吾輩が上段から振り下した渾身の一撃が魔族の男を剣ごと一刀両断にした。


 ◇◇◇


「ふう、こっちは終わったぜ」

「こっちもです。残った魔物は統率を失い散り散りになっていきます。」

「さすがはヤマモト様ですね」


 魔王軍16将軍の一人とやらを倒した後、仲間たちが声をかけてくれる。


 現在吾輩はすでに100レベルを突破し、さらに新たな魔剣も手に入れている。仲間たちも皆50レベル以上であり、並の魔物程度では相手にならないだろう。



 その後は、魔族の男が潜伏していたとされる村の村長からお礼をされ、小さな宴を開いてもらった。


「すごいですね」

「さすがは勇者様ご一行です」

「あの、……これをどうぞ」


 そう言って村娘たちから歓待を受けているでござる。ヒャロンが。だが当の本人はそっけない態度だ。何でござるかあのスかした野郎は、でござる。


「すげえな、さすがは勇者様だぜ」

「ああ、あの動き惚れ惚れするねぇ」

「どうだい、俺たちと今晩――」


 …………なぜ吾輩の周りにはおっさんが集まっているのでござるか!?


「違うでござる――――!!」

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