閑話 勇者ヤマモト 4
ただの妄想回ですので読み飛ばしても問題ありません。
「ぐぅ! おのれ勇者め」
そう言って魔王が傷ついた腕をかばう。
「勇者様、露払いはお任せください!」
そう言ってくるのはセクシーなビキニアーマーに身を包んだ女戦士だ。彼女は言葉通り魔王の周りにいる雑魚達を自身の振るう剣にて次々と斬り伏せていく。
「支援します!」
そう言う声が聞こえてきたかと思うと、巨大な火の玉が飛んでいき魔王を守る漆黒の騎士たちを吹き飛ばす。魔法を打ったのはローブを身にまといっている背も胸も小さい魔法使いの少女だ。それがコンプレックスとなっているというが、魔法の腕は一級品だ。
「勇者様、支援魔法をかけます!」
そう言って吾輩に支援魔法をかけて能力を底上げしてくれるのは清楚な神官の女性だ。その豊満な肉体は質素な神官服でも隠すことは出来ていない。
吾輩たちはやっとのことでこの魔王のいる城にたどり着き、今魔王と対峙していた。今まで旅を続けられそして魔王を討ち倒す一歩手前まで来ていた。
思えばいろんなことがあった。しかし、あきらめずここまで来れたのは彼女たち――仲間のおかげだろう。
「行くでござるよ!」
そうして吾輩は剣を振り上げ、魔王に向かってゆく。
周囲の敵は女戦士と少女魔法使いにより一掃されている。さらに吾輩は女神官の支援魔法にていつもよりもパワー、スピード共に上がっている。
魔王との距離を一気に詰める。
体が軽い。魔王討伐という重責にもかかわらず何も心配することはないと吾輩の仲間たちは言ってくれる。
「はあぁぁ!!」
吾輩が振り下した剣が魔王の持つ剣と交錯し大きな音が響く。魔王は強大なパワーで持ってこちらを圧倒しようとしてくる。しかし吾輩は負けはしない。
魔王の持つ剣を無理やり押し込め一閃、しかし浅い。
二撃目を横から振るうがまたしても防がれてしまう。
そうして3撃目、4撃目と攻撃を続ける。
女神官が絶えず支援魔法をかけてくれる。女戦士と少女魔法使いが周囲の雑魚を攻撃し、吾輩が魔王との戦いに集中できるようにしてくれる。
吾輩はこの仲間たちの思いにこたえなければならない。
「女神よ! 吾輩に力を!」
そう言って渾身の一撃をたたき込むと、ついに魔王の剣が折れた。
それに魔王が動揺し、一瞬動きが止まってしまう。
「食らうでござる、吾輩のそして仲間たちの一撃を!」
一閃
吾輩の持つ聖剣が魔王を縦に切り裂く。
「ギィヤァァ――!! おのれぇ――!! 勇者めぇ――!!」
魔王はそう最後の言葉を残して消え去った。
と同時に周囲にいた魔族たちも霧のように消えた。
「「「勇者様!」」」
皆がこちらに駆けてくる。
吾輩は皆を受け入れるように腕を広げ――
――という夢を見たでござる。