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60 迷宮都市

 この王都には隣接するように迷宮都市と呼ばれる都市が存在し、その中心には迷宮と呼ばれる地下ダンジョンが存在する。


 迷宮(ダンジョン)は現在でも解き明かされない謎の1つと言われている。

 迷宮は様々な形態をとるが、共通することが色々とある。

まず、基本は地下にできること(ごく少数の例外有)。階層が分かれており深い階層になるほど厄介になることなどが挙げられる。

 また迷宮に出てくるモンスターは死体を残さない。死ぬと同時に魔石とドロップ品(と呼ばれる体の一部やアイテム)を残して迷宮に吸収されてしまうのだ。これは迷宮が魔力で魔物を作っているというのが最も有力な説となっている。その際に外見は外にいる魔物をまねているのではないかと言われている。

 あと、宝箱があり、中には武器や装飾品など人間の好みそうなものが入っている。これは人間を誘い込むためのエサというのが最も有力な説となっている。

 まあこういう風に色々と説が出てきてはいるのだが、あくまで有力というだけで、立証されたものは今のところ無い。


 ますますゲーム感が強くなってきた。


◇◇◇


 さてデザルクの迷宮だがこの迷宮は地下ダンジョン形式であり、現在の最高到達階層は20年前に打ち立てられた地下48階となっている。最下層が何階かは分かっていない。


 ギルドマスターにはこのデザルクの迷宮都市の方に行くといって王都のギルドを出てきた。迷宮の近くにも冒険者ギルドがあるとのことなので、しばらくそちらで活動すると言ってきた。(もともと2つの都市だったこともあり冒険者ギルドも王都側と迷宮側の2か所にある)



 迷宮都市側のギルドにやって来たのだが、王都側のギルドが結構小奇麗であったのに対してこちらは雑多としていて人も多い。棲み分けの関係から王都側は、貴族などからのお上品な依頼も多いのに対し、迷宮側はほとんどが迷宮に対しての依頼や報告なので平民が多数を占めており、また冒険者も一獲千金を狙いピンからキリまでいるからだ。


 さてまずはここですることがある。


「失礼、こちらの二人の冒険者登録をお願いしたいのだが」

「はい、登録手数料が一人100フラムと、こちらの用紙へ記入をお願いします。」


 このやり取りは私もやったので、知っている。ソレイユちゃんとティーアがそれぞれ、必要事項を記入していく。


 ちなみに、護衛の依頼料は、私のギルドカードの再発行料にソレイユちゃんとティーアの登録料、あと、(安物の)衣類と食費であと残りはいざという時のためのものとする。それだけ使ってもまだ余るというのは、さすがはお貴族様の依頼といったところだが、武器防具代にはとどかなかった。……早急にお金を稼がねば


 2人とも書き終えた書類を受け付けの人に渡すと、ティーアの用紙を見た際に受付嬢が少し固まった後、「少々お待ちください」と言って奥へ引っ込んでしまった。



「で、どの子だい? 魔族で冒険者に登録したいってやつは」


 言われた通りしばらく待っていると、小柄なおばあさんがそんなことを言いながらこちらにやってきた。


「ギ、ギルドマスター」


 その後ろにはさっき席を離れて行った受付嬢があわてた様子で付いてきている。

 魔族……魔族か、そう言えばティーアが魔族だったな。ちらっとティーアの方に視線をやる。さっきの受付嬢もティーアの方を指しているので、まあ、すぐばれるだろうからな。

 周りの目がティーアに集中する。ほとんどは好奇の視線だ。後、何か下心的な視線も混ざっているような気もするが。


「なぁに? 何か問題あるのかしらぁ?」

「いや、冒険者ギルドのモットーは自由、腕っぷし、自己責任だ。別に魔族だからって冒険者になれないわけじゃないよ。あたしが見てみたかっただけさ。」


 そう言ってカラカラと笑うおばあさん、もといギルドマスター。


「そう、」

「ああ、だからさっさと登録してやりな」


 ギルドマスターが受付嬢さんにそう言うと、あわてて席に戻りギルドカードを作るための黒い板型の魔道具を出してきた。

 これも前と同じだな。ここに手を置くと、魔力を感知し、名前とレベル、ランクの書かれたギルドカードが発行される仕組みだ。


 まずはソレイユちゃんが魔道具に手を乗せてギルドカードを発行してもらう。


「はい、できました。……って、は? レベル48!?」


 おお、びっくりしている。聞き耳を立てていた周りも少しザワッとなった。やっぱりレベル48って相当高いんだね。見た目子供がこんな高レベルなんてかなり意外なんだろうな。後ろから見ていたギルドマスターも「ほう!」とか言っちゃってるし。


「あ、あの、どうかしましたか?」

「い、いえ、なんでもありません。ではこちらギルドカードとなります。こちらのカードは冒険者ギルドに登録した証明とともに身分証ともなります。あなた個人の魔力を登録してありますので他人には使えません。また、失くされますと再発行に5000フラムかかりますので失くさないようにしてください。」


 前にも同じようなことを聞いたな。……まあつい最近なんですけどね。5000フラム払ったし

 ……まあ、ソレイユちゃんとティーアは初めてだしいいか。


「では……ティーアさん」

「はぁい」


 同じように手のひらを魔道具に乗せてギルドカードを作成する。


「はい、できました。――ブフゥッ!」

「おやおや、こりゃまたすごいね」


 受付嬢さんが吹き出しちゃったよ。たぶんレベルの所を見たんだね。


「どうしたのかしらぁ」

「い、いえ、何でもありません。ではこちらギルドカードとなります。」

「ありがとう」


「2人がこのレベルってことはそっちの黒髪の嬢ちゃんもすごいのかい」


 ギルドマスターが、興味津々に聞いてくるので、「ええ、まあ、それなりに」とあいまいに返しておいた。

 それとギルドマスターとのことなので、王都側のギルドに行った際に、ランクアップの審査中を言ってくれていることと、しばらくこちらにいることを王都側のギルドに伝えていることを、言っておいた。


「で、では、お二人ともFランクからのスタートとなります。ギルドのランクや規則に関しての説明はお聞きになりますか?」

「いや、すでに知っているからいい。」


 すでに、奴隷時代にいろいろ教えているから別に今更聞く必要はないだろう。これで登録も終わったな。


「ところで御三方はパーティーを組まれるのですか?」

「ああ、そのつもりだが」

「ではパーティー登録を行いますか?」


 ん? なんだそれ聞いたことないな。初回の説明の時にも言ってなかったし。


「パーティー登録は必須ではありませんが行っておくと便利ですよ。依頼を受ける際に、パーティー名を言えばこちらも分りやすいですし、指名依頼などの場合もいちいち名前を言わずパーティー名を言えば分ります。あとは……パーティー名を出して人を募集したりもしますね。」

「なるほど、分かった。ではこの3人で登録したいのだが、」

「分かりました。ではパーティー登録をしておきますね。パーティー名はどうしますか」

「……パ、パーティー名か」

「……とりあえず保留にしておきますね。パーティー名が決まったら登録に来てください」


 パーティー名なんて考えてなかった。それを悟ったのか受付嬢は登録保留という形にしておいてくれるらしい。これは早いうちに決めた方がいいな。



 なお迷宮についてだが、冒険者なら入るのに特に制限はない。一応迷宮の入り口に受付みたいなところがあって、そこで身分証の提示(冒険者の場合はギルドカード)と簡単な予定(どの程度潜るのか、何日ぐらい潜るのかなど)を管理しているらしい。これは迷宮内にいる人間や死亡者の管理のためだとか。



 よし、ソレイユちゃんとティーアの冒険者登録も済んだことだし、迷宮に行くか。お金のために。


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