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49 王都へ 1

 今日はメリノ君が王都へ帰る日だ。まあ、実家はこっちなので『王都へ行く』と言ったほうがいいかもしれないが。


 メリノ君とその荷物を載せた屋根&貴族紋(家紋のようなもの)付きのわりと豪華な馬車が1台。なおこの馬車には、メリノ君の学院でのお世話係のメイドさん2名も乗っている。

 更に道中の食料や衣類などの荷物を乗せた幌付き馬車が1台。

 護衛の領軍の兵士5名と騎乗する馬。

 そしてもう1台馬車を用意してもらって私たち3名、および護衛に雇った冒険者2名が乗る。

 以上が、今回王都へ行く一行である。



 本日は護衛の冒険者という扱いなので自前の装備だ。


 なんと私、服を新調しました。お金があったので。

 狐ならお稲荷様だろJK。という勝手な想像で、和服とか似合うんじゃないかと、オーダーメイドで作ろうとした。ただ女性用着物の着付け方とか構造とか帯の結び方すら全然知らないのですぐにあきらめた。

 結局、和風っぽいもの作ってもらうことにした。見た目的には頭の中にある和風の服をさらに改造、動きやすさ重視でノースリーブ、下は動きやすいようにミニ丈となっている。結局見た目和風なだけのなんちゃってWAHUKUとなっている。ただそれだけだとパンモロしてしまうので見せパンも作ってもらった。ドロワーズとかではない言わるゆるショーツみたいなものだ。ちなみにだが、この世界、伸縮性のある素材というものが存在する。石油化合品ではなく魔物の素材らしくそれなりのお値段らしいのだが。

色は黒と白を基調に赤い模様をアクセントとして入っている。

 ただそこに明らかに洋物のガントレットを付けたので何か似合わないなと思い、ガントレットの方にも服と合わせるように黒ベースの色を付けてもらった。

 あとブーツの方も色をそろえて、更に靴底に鉄板を仕込んでもらった。そう言えば靴屋に、ハイヒールというかパンプス? もあった。あれってたしか地球ではウ○コを踏まないようにするためにできたはずだがこの世界にもあるということは……ウン○落ちてるのか?

 金棒は特に変更なしだ。ただ、馬車の荷台にあると場所を取りそうなのでアイテムボックスに放り込んでいつでも取り出せるようにしている。メイド服は借り物なので返却済みである。


 ティーアの方も服を新調したのだが、明らかに露出の多いドレスみたいな服となっている。胸元とか結構開いて谷間がばっちり見えちゃってるし、丈も短いのに下着は見せパン的なものじゃなくて大人なショーツだ。お、お父さん許しませんよ! 

 背中も丸出しなんだがこちらは一応収納可能な蝙蝠の羽のような翼があるらしく、出し入れ自由で大きさもある程度変化させられるらしいが、完全に仕舞っているよりは出している方が楽だという。今もちっちゃな翼がぴょこんと出ている。ただし飛ぶのは結構体力を使うらしい。実際今まで飛んでいるところは見たことがない。

 その他には、パーティー用のドレスみたいにこれみがよしに装飾がついているわけではなく、派手さはそれほどでもないが長旅には適さないんじゃないだろうか。これから数日間移動だぞ? と聞いたが、彼女ほどのレベルがあれば問題ないと言っていた。後、種族としての矜持が何とか。

 鞭の方は新調。ロックリザードの素材(腱とか筋繊維とか)を使用し、攻撃力&耐久性がUPとなっている。


 ソレイユちゃんは私服は今のままで十分だというので、特に変わっていない。ただ数日間の旅となるので同じような服をいくつか買い足している。

 武器である槍もそのままだ。

 防具は革の胸当てをロックリザードの革製に変更して防御力をUPしている。



「ふふふ、どうだカッコいいだろう?」

「お似合いです。ノワール様。」

「何か、見たことのない感じの服ねぇ」


 フル装備をお披露目してみた。オーダーメイドだったのでちょっと高くついたが、今の資金力なら問題ない。

 ティーアのドレスも高かったが、同じく問題ない。



 さて、私たち以外の冒険者というのは、


「あ、ノワールさん。お久しぶりです。」

「あ、ああ、久しぶりだな。」


 コラット、ソマリ兄妹だった。

 こらこら、コラット君、ティーアの方をちらちら見るんじゃない。胸とか太ももとかに視線がいっているぞ。

 気持ちもわかるんだが、そう言うのは結構目立つんだぞ? 私も女になってからその手の視線に結構気づくようになったからな。ので、女の人に向ける視線などは結構気を使っている。(私基準で)


「いたっ――」


 ほら、ソマリちゃんに足踏まれたじゃないか。



「では、冒険者の人は馬車の方に。道中魔物などが出てきた場合には対処をお願いします。」


 取りまとめの執事さんが言ってきたので私たちはそろって馬車の方に向かう。


 ◇◇◇


 パカパカ――


 先頭に領軍の騎兵が5人(5騎)、その次にメリノ君の馬車、荷物を載せた荷馬車と続き、最後尾が私たち冒険者5人を乗せた馬車となっている。


 特に何もない道を順調に進んで行く。まあ、道と行っても別にアスファルトや石で整備されているわけではなく、土がむき出しの道だが。それでも馬や人が何度も行き来し、ちゃんと踏み固められているだけあってどこまでが道かという区切りははっきりしている。

 途中何度か徒歩の人間や馬車とすれ違ったりもした。


 道の周りは草原が広がっておりさらにその向こうには森がある。今のところは何もないのでのどかな風景だ。

 まあ、まだ町の近くだし、領軍やら冒険者やらも多い。盗賊や魔物も出て行ったらまずい程度の知能はあるだろう。出てくるとすれば街から離れた場所や領の端っことかその辺を通るときだろう。一応、いつでも対応できるように警戒はしておくが。



 王都まではおよそ7日間となっている。王都からフーカ公爵領までそれなりに距離があるのと、馬車という乗り物はそこまでスピードが出るものではないのでそれだけの日数になってしまうのだ。あと移動は日中の数時間のみというのもあるかもしれない。朝は出発までの準備――朝食を食べて、メリノ君が身だしなみを整えてなど――があるし、夕方は立ち寄る街や村なんかで宿を探したり馬車を止めたり、後場合によっては町長や村長に挨拶といろいろ手続きがあるからだとか。


 ◇◇◇


 1日目、2日目は普通に過ぎて行った。

 日中に移動し、着いた街で宿をとって休む。一応護衛という名目なのでそこそこの宿のメリノ君が泊まる部屋の近くに同じように部屋を取って休む。移動は警戒をしているとはいえ私たちは馬車に乗っているしとくに疲れない。

 馬車が揺れる際にダイレクトに衝撃が来るので、尻と腰が痛くなったのぐらいだ。なお昼食は道端に寄せて停車した後、保存食をささっと食べる程度。朝食と夕食はちゃんと食べれているので問題はない。


 3日目も特に何も起きなかったが……正直飽きた。何も起きないと暇なのだが、護衛なので移動中は周囲を見ていないといけない。街と街、または村の間は、大体畑か草原か森なので飽きる。

 一応警戒しないといけないんだが、ずっと集中力が続くわけもなく、私とソレイユちゃん、ティーア、それとコラット、ソマリ兄妹でローテーションを組むことにした。とりあえず2人に見張ってもらって残りは休むということでやっている。

 ただ、なんというか何もできないのだ。馬車がガタガタ揺れているので寝ることもできず、時間をつぶせそうなゲームなど持っていない。一応魔法関連の本はいくつか購入して持っているのだが、すでに一度読んでしまっているのと後、さっきも言ったがガタガタ揺れているので本の文字が追えないのだ。

 結局周りの景色を見ていることぐらいしかやることがない。

 あ、ちなみに若返ったからか非常に物覚えがよくなっている。本の内容など一度読んだら結構頭に入ってきて読み返さないといけないということが少なくなった。


「ねぇ、ソマリさん。今晩私の部屋に来ない? ……あ、それともあなたの部屋の方がいいかしら?」

「ふえぇぇ~……」


 なぜかティーアが小柄なソマリちゃんしなだれかかりつつ、膝の上に置かれたソマリちゃんの手を握っている。もう片方の手も太もものあたりに自然伸びている。

これも、いつものやり取りとなりつつある。

 1日目に自己紹介をした後、即効ティーアがソマリちゃんを口説きにかかった。一応その際は注意しておいたのだが2日目3日目ともなると面倒くさくなってきたので放置している。ちなみに今の所ソマリちゃんが襲われたということは聞いていない。

 なお、コラット君とソレイユちゃんは見張りなのでおしゃべりには参加していない。コラット君はティーアの方をたまにチラチラ見ているようだが。


 4日目そろそろ領を出て人のあんまりいないエリアへ差し掛かるという所でそれは唐突に起こった。


「ヒャッハ―!!」

「食料を寄越せー!!」


 ん? 幻聴かな? エラくアホなセリフが聞こえてきた。

お金がたまってきたので装備を新調しました。

なぜ主人公は剣技スキルがあるのに金棒を使い続けるのか……

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