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45 お貴族様のレベル上げ 2

「ノワールさんのパワーレべリング講座ー! うぇーい!」

「「…………」」


 ちょっとテンション高めに言ったんだが、メリノ君とソレイユちゃん的にはよく分かっていないようだった。こういうのはノリが大事だよ。


 今日はソレイユちゃんもつれて、東の森の深い所に来ている。ちなみに前回みたいな領軍の護衛は無しだ。前回あんまり役に立たなかったからな。

 領主様には東の森の浅い所に行くといってある。深い所に来ていることは内緒だぞ☆

 深い所に来たのは、ちゃんと勝算があってのことだ。〈気配察知〉をいつもより念入りにかけて、はぐれた魔物を狩る。私は狩には参加せず、ひたすら周辺警戒を行う。東の森ならそれほど強い奴も出ないだろうし、群れからはぐれて1匹になった魔物を狙う。このあたりの魔物なら、1~2匹程度であれば2人で対応可能だと思っている。事実それだけの訓練を行ってきたつもりだ。

 群れや変に強い奴が出たら2人を担いでダッシュで逃げればいいと考えた。ガバガバな作戦だが結構いけそうな気がしてきた。とりあえず2人には絶対に私から見えないところには行かないように言ってある。

 領主様は護衛と馬車を出そうといってくれたのだが断った。それは過保護だ。そんなことをしていてはいつまでたってもレベルが上がらない。とかなんとか反対意見を並べ立てて。

 領主様はそれはそれは渋い顔をしていたが、最終的に納得してくださった。何度も何度も「大丈夫か?」「大丈夫なんだな?」とうるさかったが。「大丈夫だ。どれほど大怪我をしても治すから」と散々言い聞かせた。魔物のほとんどいない東の森の浅い所に3人で行くだけでこれである。こりゃレベル上がらないわ。ある意味、領主の自業自得じゃないの。


 結局、東の森の入り口までは歩きで、その後はいつものように私が担いで行った。深い所だが結構スピードを出したのでそんなに時間はかからなかった。担いで走っているとき何か騒がしかったし、着いた時、メリノ君がちょっと涙目だったが。

 よしこの辺でいいだろうと、2人を下したのだが、メリノ君は奥の方に来たのは初めてなので周りをきょろきょろと見回していた。


 おっと、そんなことをしているとオークが来たぞ。1匹だ。それにしても深い所でオーク1匹って珍しいな。群れからはぐれたのだろうか?


「前からオークが来ますよ。構えてください」

「え!?」

「は、はい!」


 メリノ君は困惑中だ。ソレイユちゃんは以前のレベルアップ訓練があるのでちゃんと意味を理解して武器を構えた。


「メリノ様、武器の用意を」

「え、あ、は、はい」


 ようやく、メリノ君も武器を構える。


「オークは1匹です。なので2人で倒してください。」

「「え!?」」


「あ、あの、僕まだ魔物とちゃんと戦ったことが無くて……」

「あ、あの、ノワール様、私まだオーク相手だと……」

「大丈夫、今の2人なら問題ありません。」


 そうこうしている間に、目の前の茂みが揺れてオークが現れる。


「ブヒッ……ブヒィィィ!」


 おっと、いきなりオークさん臨戦態勢だ。3対1なのになんとも勇ましい。まあ、こっちは2人が子供だしな。それ以前に私は参加しないので2対1だが。


 オークがこちらへ突進しながら手に持った棍棒を振るっているが、多少ビビってはいるものの2人とも余裕をもってかわした。ちょっと動きが大ぶりかもしれないが、あの程度のスピードなら全く問題ないな。しかし魔物って武器を使うという頭はあるのに、棍棒とかそういうものしか使わないよな。なんだろう、魔物は猿程度の知能なのだろうか、道具を使う知能はあるが加工する知能は無いとかいう。



 この数日間、メリノ君は私相手に剣の稽古をしていた。なぜか最近こちらの顔をちゃんと見ようとはしないので、領主に内緒で実剣を使ってみたりもした。ちゃんと見ないと怪我しますよ。

 メリノ君は涙目だったがちゃんと躱していたので、徐々にスピードを上げて行った。NINJAの修行法だ。たまにかわしきれずかすり傷がついていたがそれはその場で即効治した。領主にばれると問題だからな。あの親バカならなに言ってくるか分からないし。最近になると、こう、結構な速さの一撃を達人みたいに紙一重でかわしたりもしていた。うむ、技術的には問題ない程度になっていると思う。

 あともう一つが、実戦を意識した訓練だ。これは簡単で、狭い部屋の中で扉に鍵をかけて、殺気を相手にぶつけるというものだ。殺気なんてどうやって出しているんだ、と日本に居た頃なら思っているだろうが、こちらの体はハイスペックだったらしい。こう、何となくできた。


「ふふふ、もう逃げられませんよ」


 カチャッ!


「あ、あの、な、なんで鍵をかけるんですか」

「ふふふ」

「え、あ、あの」


 じりじりとにじり寄っていく。これがティーアならメリノ君は筆おろしとかされてしまうのだろうが、あいにく私はショタとか興味ない。私がショタ側ならドンと来いだが。

 これは、ただ単に訓練の一環だ。相手が警戒して十分に距離を取ったら訓練スタートだ。

 殺気を放つ――

 いきなりやったら、メリノ君が泡を吹いて気絶してしまった。……反省。私の方もちゃんと殺気の強弱を付けれるようになっておかないとな。


 起きるまで部屋にソファーで膝枕とかしてやったぜ。起きてもう一度と言ったら、嫌だよーとか言ったので、無理やり()った……もといやった。2回目は気絶はしなかったが、ダッシュで逃げようとした。まあ、カギかかってるから逃げられないんですけどね。……内側から掛ける鍵なので普通に鍵を開けて逃げられた……。次の日はちょっと弱めに殺気をぶつけてみた。うん、とりあえず膝がガクガクだったがなんとかその場で立っていられるようになったようだ。


「うぐ、うぅ……」

「どうしたんですメリノ様、そこは使われていない部屋でしょう? 何でそんなところから?」

「の、ノワールさんが無理やり……怖かった……」

「の、ノワール様な、何をしたんですか!」


 おばちゃんメイドさんの一人がメリノ君を見つけて声をかけている。膝がガクガクして逃げ出そうとした際に衣服が乱れ…………あれ? これ俺がエロいことしたように見えるんじゃ。

 誤解を解くのが大変でした。


 後は、殺気をぶつけたまま剣を振るう通常の稽古をしてみたりした。腰を抜かしていた。とりあえずは、殺気に対する警戒感がバカにならない程度には鍛えられたのではないだろうか。ちゃんと落ち着いて相手の攻撃を見ることができるのであれば、余裕が生まれるだろう。遅い攻撃を、変にビビって受け損なうなんてことはないはずだ。

 とりあえず、そんなことを数日間続けた。

 最近では、メリノ君の剣の腕も非常に上達したのではないかと思っている。



 さて問題のオークだが、上から振り下した一撃目をかわし、メリノ君が左、ソレイユちゃんが右に展開、そのまま、腕と脚を斬って転ばせたうえに、ちゃんと止めを刺していた。おお、スムーズだな。メリノ君がちょっとビビっていたようだが、これなら普通にレベル20ぐらいにまであげちゃっても問題ないんじゃないだろうか。


 よし次は、1対1だ。ちょうど運よくオークがさらに5匹追加でやってきた。

 ちょっと多いので【ストーンアロー】の魔法で相手の間合いの外から攻撃した。


 パァン!


 上半身が吹き飛んだ。……討伐証明部位とかも一緒に吹っ飛んだ。

 5匹中3匹をその方法で排除する。

 残りは2匹、1対1を二組作る感じだ。


「の、ノワールさんは魔法も使えるんですか!?」


 メリノ君がなんか変なところに食いついたな。


「ああ、多少ではあるが使えますが」

「こ、今度教えてください!」

「……分かりました。とりあえず目の前の敵を倒してからですね」

「はい!」

「よし、じゃあそれぞれ1匹ずつ倒してみてください」

「「は、はい」」


 ソレイユちゃんはオークに相対したあと、速攻で仕掛けて行ったようだ。一気にダッシュで懐までもぐりこむと、相手が攻撃する前に武器を持った方の腕に一撃を入れ、ひるんだ相手の足に2撃目、そして頭に3撃目を食らわせて沈めた。やはり実践慣れしているな。以前のレベル上げがいい経験になったのだろう。


 対する、メリノ君はちょっと腰が引けているな。やっぱり1対1という初めての状況に多少ビビりが入っているのだろう。相手の攻撃を受け流す様はいいのだが、なかなか攻撃に移れないでいる。


「相手の動きをよく見てください。大振りなので隙なんていくらでもありますよ~。」


 外野からちょっとアドバイスしてやる。

 お、一撃入れた……ちゃんと入ったな。オークがのけぞる。その隙を逃さず追撃して、2撃目を腹にいれる。スパンと斬れたが、分厚い脂肪のせいで致命傷とは言い難い。だが確実に動きが鈍っている、さらに、3、4撃目と入れていき、相手が倒れたところで、体重の乗った一撃を首に放ち止めとした。

 うん、ちょっと最初、ビビっていたようだが問題ないだろう。


「二人ともよく頑張りましたね。」

「うぅ……」

「えへへ……」


 戻ってきたので、……ねぎらいの意味も込めて、頭をなでてやる。……メリノ君は恥ずかしそうだ。さすがに11歳で頭をなでられるのは抵抗があるのか。でも、14歳のはずのソレイユちゃんはうれしそうだし……



 さすがに1人でオーク1体半だとレベルがあんまり上がらないので、少し辺りをうろちょろしてみた。うーん、いないな。

 周辺に魔物の気配がない。できればもう2~3匹、オークとかと戦わせてレベルアップを図りたかったんだが。


どうも昼と夜でテンションが違うので、夜書いたものを昼に読んだらあれぇ? ということがあります。

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